「愛してる」(藤逸)
綿菓子みたい、先生の微笑み
とけそうであまいその笑顔がとても綺麗で好きだと思う
(ねえ 藤くんの笑顔って爽やかで王子さまみたいだよね!)(綺麗だよね、本当)(こっちまで幸せになるよねー)
よく笑顔が素敵だと言われたことがある。素直にうれしいといえずにいたのは自分がどろどろにきたない笑顔を向けていることを知っているからだった。お前らの目は節穴かよ、派出須先生みてみろよ、本当に溶けそうでふわふわの優しい笑顔してくれるよ(でもやっぱり教えてやらねえ、知ってていいのは俺だけだ)
「せんせい、わらって」
目をみひらくせんせいがなんか面白くてもう一度繰り返していうと次はため息をつかれた。 なんでためいき?
「笑わせてくれないと笑えないよ」
もっともだ、俺はでも爆笑してるあんたなんかみたくない。きらきらふわふわに輝くように笑うあんたがみたい。
「せんせい、すき」
「これで何回目?」
「…じゃあ、せんせい、あいしてる」
また目を見開くせんせい。刹那綺麗な目が細められて目尻がたれる。あ、きた、おれの大好きなふわふわしてる綿菓子みたいな微笑み
「……僕も」
ああすき だいすき あいしてる。その笑顔がすきですきで死にそうなほどにすきで。細い腰にだきついた。そしたらびっくりしたみたいに肩をゆらすから、かわいすぎて抱きしめる腕に力がはいる
「あと10年もしたら俺があんたを食わせてやる」
「……それは、」
「まってろ。」
「…ふふ、ありがとう」
あまりにも子供じみたはなしだろ。多分あんたは10年ぐらいまっててくれる。10年たったらまたいうから。
「愛してる」
(失踪透子ちゃんより)
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