焦燥(男古)


嘘だろ、そんな、まさか

焦る気持ちと同調して
走る速度も上がっていく

なんで、とか
いつの間に、とか
いろんな疑問が頭をよぎるが
今はただ速く速く、

目的とする場所へと着くが
目指す場所は更に奥、
中へ駆け込み、走り抜けると
後ろが騒がしくなる
でもそんなこと、
俺に関係ない

俺には周りの喧騒など
目に入らない
ただの景色、
無機質なビルと同じだ
速さだけを
求めていたはずなのに
そんなくだらないことが
頭を巡る余裕があることに
気付き失笑、

目的の場所に着き
息も整えず力任せに扉を開けた

ガラッ、と
意外に音が出なかったので
そんな配慮がしてある
構造なのだろうと思った
扉自体の音は
あまり大きくなかったが
俺の乱れた呼吸に
部屋の住人が気付き
よう、どした?
と挨拶をした

…どうしただと…?
なんでこいつは
けろりとした顔で
挨拶が出来るんだ、?
俺が想像していた
住人の態度とは
大きく外れる態度に
不思議に思った俺は

お前、怪我したんだって?
と聞いた

そうなんだよ…、
寝ぼけて、2階から1階まで
滑って足折るなんてよー、
まじついてねぇ、
つかベタすぎるだろ、俺…!

と自分自身に突っ込む
古市を見て、
体の力が抜けるのを感じた

(彼奴等には悪いことしたかな、)




こんざい、都市琉ちゃんより)