転校生がきた。
鮮やかな色の毛と整った顔、抜群の運動神経で、クラスの人気者になりうる要素は揃っていたのに。
はりつけたような笑顔を転校初日に見せたきり、彼は一ヶ月の謹慎処分で学校に来なくなった。
そんな彼が復帰したのは今週のあたま、四日前の月曜日。クラスのみんなの中からすっかり存在を消された彼は、教室のすみの席で静かに座って生きていた。
「ねえ聞いてた?」
だけどその席というのは、わたしの隣の席であったりもする。
いっそ無視も考えたけれど、彼の謹慎の原因は暴力沙汰らしいのである。そのため昔から疫病神の熱烈なストーカーにあっていたこともあって、一瞬でいろいろあきらめてなんとか笑顔で振り返った。
「なに、神威くん」
「Sですか、Mですか」
にっこり笑顔で、そう言った神威くん。ファーストフード店でよく聞きそうな台詞で、よく意味がわからなくて首を傾げる。
「なんの話?服のサイズ?」
「ううん、性癖の話です」
うわあ。全力で引いたわたしを、やっぱりにこにこみている神威くん。うんこいつ駄目かもしれない。
110921