日番谷隊長とお付き合いさせていただくことになった翌日、隊舎に入るなりいろんな人にびしばし背中たたかれて、しかも付き合いが長い人の中には飛びげりする人もいて、意味がわからないまま出勤。わ、私なんかしたのかな。もしかして日番谷隊長と付き合うことになったのがばれたとか…!?でも昨日の定時後の話だし、ゆっちゃんにしか話してないから、こんなすぐ広まるのもおかしいよなあ。


「あら、名前おはよう」


席官室に入った瞬間だいたい悟った。うん。乱菊さんがこんな朝早くから来てるなんておかしいし、その笑顔がだいたいのことを教えてくれました。しかもうわさにうとい第七席がにっこり笑っておめでとうございます、なんていうからもはや確信である。


「乱菊さん、何してるんですか」
「何って、隊長と名前のよろこばしいご報告をみんなに?」
「いやいやいやいや。そもそもなんで知ってるんですか!?だって昨日は飲みに行ったはずじゃ」
「隊長に教えてもらいましたー」
「え」
「いやね、前から何かと相談されてたのよ。誰か別の人の恋愛相談を装ってなんだけど、これが笑っちゃうくらいわかりやすくてね!」


けたけたけた、と笑う乱菊さん。え?今なんて?前々から受けてたって、じゃあ飲みに行った時に私が告白したこと知ってたのも相談されてたってことでしょうか。「まーね」な、なんということだ…!ていうか隊長いちいち乱菊さんに相談してたんですねかわいい!


「あの時は隊長もほんとテンパりまくってたわよ!昨日はわざわざ居酒屋きて、報告だけして帰ってったし」
「え、」
「ん?」
「い…意外すぎて」
「はあ?隊長だって人間だもの。女の子に告白されたらだれだってそんな感じよ」
「いや、そうかもしれないんですけど」


そうなんだ。知らなかった。いや、べつにそれがいやだってわけじゃないし、いいんだけど。なんだか少し拍子抜けしたというか、なんというか。
そんな私を見兼ねたのか、乱菊さんはあんたねえ、とみけんにしわをぐーっとよせて私にデコピンした。ふ、不意打ちなんて卑怯だ!と思ったけど言えない私、プライスレス。


「あんまり夢見ないの!いーい?隊長も人間なの」
「は、はい!」
「そりゃこれから先、隊長はあんたの前ではかっこつけるだろうけど…でも隊長は万能じゃないし、完璧じゃないの。わかる?」
「はい」
「男って、好きな子の前ではかっこつけずにいられない生き物なのよ」


乱菊さんはそういって、わしゃわしゃ私の頭をなでた。確かに夢みてるのかもしれない。乱菊さんは私より隊長のこと知ってるんだろうなあ。ちょっとくやしいけど、これからまだまだ追いつけるはずだ。だって私と日番谷隊長はこ…っ恋人なんだし!がんばろう、なんてひそかに目標にかかげてみる。
そのとき、ちょうど隊長が出勤してきて、席官室に顔をだした。みんなと一緒におはようございます!という。でもみんながにやにやしてるから、隊長は不思議そうにまゆをよせた。「おしあわせに!」誰かがそう言った瞬間、隊長はぱちくりとまばたきをした。それからみるみるうちに耳が赤くなって、乱菊さんを連行することなく逃げるように執務室に消えた。みんながくすくす、やさしく笑う。私もおかしくなってけらけら笑った。





101209

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