「ら、らら乱菊さん…!」
「ちょっ!またひどい顔してどうしたのよ!?」
「ゆ、ゆっちゃんに贅沢な悩みと一蹴されまして、わ、私もうどうすればいいのか」
「はあ?」


一週間後までに異動の書類書いて提出しろ、いいな。
昨日言われて以来、頭のなかでぐわんぐわんリピートされている隊長の言葉。六番隊の任務はなんとかこなしたけど、私はもうほんとに心底不器用な人間なので作戦以外では足をひっぱる結果になった。見事にけがをして、四番隊のお世話にもなって。そのくらいびびったのである。乱菊さんにすがりつきながら一生懸命説明すると、とりあえずべりっと引きはがされて正座させられた。


「らんぎくさ…!」
「ほんと困ったときしか寄りつかないのねあんたは…」
「ごめんなさい現金でえええ」
「泣くなおばか!もう。なに、異動の話でしょう?隊長に頼んで断ってもらえば?」
「…え?」
「相手の隊長にいって異動の話を取り消してもらえばなくなるのよ」
「そっそうなんですか!?」


乱菊さんは仕事をしないけどいろんなことをよくわかっている。ぽふぽふ、と頭をなでてくれるてのひらは優しくて、ようやく落ち着いて呼吸ひとつ。よかった。まだこの十番隊にいられる可能性はあるんだ。
落ち着いたら急に傷がずきずき痛くなってきた。なんだこれ。なんか絶対おかしいってもしかして私また卯ノ花隊長にいじわるされたんじゃ…いやいやいや。さすがにそれは…いっつも無駄に手間をかけさせてしまっているけどそれは。


「まあ六番隊なら恋次もいるし、簡単に取り下げてくれるわよ」
「え?」
「…え?」
「たしか話がきてるの、十三番隊からだったかと」


乱菊さんがぴたり、と動きを止めた。え。なんだかいやな予感しかしないよ乱菊さん。正座した足がじんじんし始めたころ、急に乱菊さんに手を引かれて、痛っ足しびれた!じゃなくて、立たされることになった。
乱菊さんの顔を見上げると、乱菊さんはなんともいえない顔で私の頭をぐしゃぐしゃになでまわした。それから両肩をぱしん、と叩かれる。あ、足ときずに衝撃が…いやでも気になんない!気にしない!乱菊さんの目をじっと見ると、また肩を叩かれた。いった、きずいたい!


「がんばんなさい!」
「は」
「十三番隊じゃね…あそこ、隊長は体弱いし副隊長はいないし。隊長が断れるかどうかわからないわ」
「っええ!?」
「さすがにこればっかりはあたしもなあ…ん、まあ努力はするけど」


乱菊さんはごめんね、と私の頭をもう一度なでた。乱菊さんは悪くない。日番谷隊長も、浮竹隊長も悪くないから、私は首がとれそうなくらいぶんぶん横にふった。きずも足もいたいけど気にしない。
前は六番隊から、今回は十三番隊から。なんだ私、もしかしてだめな子じゃなくなったってこと?なんて喜ばしいんだ、私はようやく胸を張って十席だといえる!だからまだ十番隊から異動するわけにはいかない。ステイしなきゃ、なんとしても。
…にしてもきずが痛いんだけどこれ乱菊さんのせいですか?いやまあ、いいんですけども。





101205

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