私は日番谷隊長が好き。
自覚はした。そしてかなり真面目に考えた。かつてないんじゃないかってくらい頭を使って、いろんなことを考えた。エジソン、アインシュタインあたりとタイマン張れそうなくらいに。この気持ちとどう付き合っていこうか、ていうか私はこの先どうなるか。だって顔に出やすい自信ある。初対面の人にだって心を読みとかせる自信ある。そうして考えれば考えるほど日番谷隊長のことで頭はいっぱいになって、さらに好きになっていくようで。
結果。


「おいてめぇ上司と話す時は顔見て話せ」


日番谷隊長の顔が見れなくなり、姿すら見れなくなり、必然的に避けることとなってしまったのである。
いや、好きだと自覚してみたら、これがなんていうか、はっはずかしくて。顔を合わせづらい。しかも隊長はイケメンだから、私の働き者な心臓ははんぱないくらい動いてくれちゃうわけで、顔なんてますます見れないわけだ。


「おい名字」
「…ごめんなさい」


ぺこりと頭を下げてから、ざくざくと突き刺さる視線の方をおそるおそる見た。うわお、プチ切れていらっしゃいませんかたいちょう…!眉間のしわは二割増しくらいだし、みるからに不機嫌そうです。こ、これやばいんじゃないか私よ。背中をたらりと冷や汗がつたう。でも心臓だけはばくばくとうるさくて、ふとももをぎゅっとつねって落ち着かせようとこころみる。…う、だめだ。私の視線はまたふらーっと宙に戻りそうになる。だ、だって隊長が好きなんだ。日番谷隊長が好きで、隊長の目なんか見たら私、いやばかなんだからだと思うんだけどそれでも。


「…まあいい。用件なんだが」
「好きですたいちょう」
「実は……………は?」


確実に口を、すべらすだろうなあと思っていたわけです、はい。
いや驚くほど自分のことがわかってるねさすが私。でも大事な話とかになると相手の顔を見ちゃうのも事前に気づくべきだったかな私!!!まあいわゆる後の祭り状態なんですがね、ハハ。…やべえ言ってしまった。いうつもりこれっぽっちもなかったのに。
しかし言ってしまったのだから、いっそ腹をくくるのもまた潔い。完っ全にアウェイな方向を見ていた視線をぐぎぎ、と日番谷隊長に向ける。隊長はいつもの表情のまま、すこしだけ目を見開いていた。やっぱり聞こえてますよね!じんわりと手のひらに汗がにじむ。ぎゅっと握って日番谷隊長をまっすぐ見た。心臓が16分音符を刻んでいる。にっ逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ!
隊長のうすいくちびるが開くのが見えた。心臓がどくん、とひときわ大きくはねる。


「………ええと、どういう意味だ?」





自分の席に戻った時、私は久しぶりに机に思いっきり突っ伏した。居眠りしようと思った。どうせ仕事ないし。席官になってから初めてのことだ。
隊長。どういう意味って、私は最初から一つしか答えがないと思うんですが。





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