「日番谷隊長!」


久々に流魂街に帰ろうとしたら、何故か見慣れた銀髪が。あれ、もしかしてもしかしなくても、日番谷隊長も実家にいかれるのかな…!そう思ったらいつのまにか口が動いていた。ゆっちゃんいわく思考がダダ漏れする構造の口だそうです。
私服姿の隊長は一度立ち止まって、それからこっちを向いてため息をついた。えっ顔見た途端ため息!?私、乱菊さんの次くらいにため息つかれてる気がする。でもめげない。手のかかる子はかわいいって乱菊さんいってたし!


「おはようございます!」
「…おはよう。なんでてめえもここにいるんだ」
「久々に実家に帰ろうと思いまして!私の家、潤林安にあるんです!」


まさか非番の日に日番谷隊長に会えるとは思わなかった!いや非番の日をぶつけたのは私だけど。だって日番谷隊長のいない日は乱菊さんに書類出さなくちゃいけなくて、大抵仕事後に飲みにいくことになってるんだ。不思議。だけど飲みにいくと私は次の日使いものにならない。ただでさえあんまり役に立たないのに、きもちわるくてうぐうぐしてる私なんてもはやマイナスである。
ってあれ。ふと気がついたが、日番谷隊長が信じられないと言わんばかりの顔で私を見ていた。え?


「…信じらんねえ」


あ、あたった!ついに私は日番谷隊長の心を読み取れるようになったぞ!!ガッツポーズで…あれ?私が潤林安出身なのそんなにおかしい…?私の平和な頭は潤林安の産物か、ってよく言われるんだけどな。…うんやっぱり否定されてる気がする。


「そっそんなにおかしいですかね…?」
「いや、そうじゃなくて。あー。まあお前、知らねえよな」
「呪われし潤林安の」
「違えよ」


ぺしっと頭を叩かれる。さすが隊長、ツッコミ早すぎて最後まで言うことすらできなかったぜ。
叩かれたおでこをさすさすしていると、日番谷隊長はぽそりと悪いと言ってくださった。やさしい…!床にこすりつけたりゆっちゃんに叩かれたりで散々な目にあっているおでこを思いやってくれるなんて!大丈夫です、というと日番谷隊長は何故かちょっと笑った。わあニヒルー。


「俺も潤林安だからな」
「えっ、隊長も?」
「ああ。結構あそこで有名だぞ」
「まじですか…私、虚に襲われたことがあったせいで昔はひきこもりだったので。たぶん私を知ってる人は少ないんじゃないかと」
「は」
「え」
「いや…別に」
「そういうのが一番気になるんですよたいちょう!?」
「うるせー」


隊長がすたすたと歩きはじめてしまったので、私も急いであとを追う。あひるの親子みたいな感じ?あっでも日番谷隊長のが小さ…心の中とはいえこれ以上いったら明日私の席がない気がする。やめとこう。
隊長の横にぎりぎり並ぶか並ばないあたりまで追いついたとき、隊長は「死神になれてよかったか?」と聞いてきた。だから即答ではいと返す。うん、元気で大きくていい返事。「だって十番隊で働けてるんですから!」ぐっと拳を握ってそういった。へへん!照れろ!だけど隊長は普通にそのまま歩いていってしまって、また追いかける。スルーですかぐすん。あひるの親子再来。


「お前、ひきこもりだったってことはあんまり潤林安知らないのか?」
「ええと近所なら…」
「うまい甘納豆売ってるとこがあるんだ。ちょっとよってくか」
「はっはいっ!」


もしや今のがデレ…!?と顔を覗き込むと容赦なしのデコピンをされた。ものっそい速さである。い、痛いですたいちょう…





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