この間の任務の成功で、ちょぴーっと調子に乗っていた。今回はざくっと肩口をやられた上、なんだか表面はえぐれてしまっている。同行した子にまあちぎれるまでは達してないって言われて、とりあえずそのまま帰還した。だって皮ないから包帯とかしたらダイレクトに肉に布があたるわけでしょ…?おっおそろしい。
そんなわけで帰還した私は、まっ先に四番隊に向かった。血をぼったぼった垂れ流した私をみた新入隊士の子は完全にパニックになり、そのまま伊江村三席のもとまでまわされて、ひどく説教をされた。なんでもやばかったらしい。もちょっとで再生が難しかったとかなんとか。


「そんなわけで、報告書です」
「お前なあ…虚にやられたらどうなるかわかんねえんだからすぐ四番隊にいけ。なんかあってからじゃ遅いんだ」
「す、すみません…」


ぺこ、と頭を下げる。このくらい大丈夫だと思ったんだけどなあ…いやでもまあちぎれるのは嫌だしかなりというか超嫌だしそう考えたらあんまり大丈夫くなかったのかもしれない。そうだよ痛かったし。あれ?ていうか私報告書に自分のけが書いたっけ?一緒にいった人たちの分は書いたけど、自分の分忘れてね?つか私が一番重傷なのに私の書かなくてどうするの?
つまり、ミスである。
頭をさげたままそっとチラ見して確認し、そのまま手を伸ばして回収をこころみる。ナチュラルに。ナチュラルビューティー。いや違うけども。


「…何ひっぱってんだ」
「あっばれた」
「あ?」
「いや違いますあの、自分のけがを書き忘れまして…あは」


隊長の眉間のしわがひときわ濃くなる。う、やば。ちょっとうっかりしちゃったんだもん!なんて口がさけても言えるはずがなく、私はおとなしく一歩後ろにさがった。むろんいつでも膝をついて土下座できるようにするためである。きりっ。
いよいよ勢いよく土下座しようと、ない胸いっぱいに空気を吸い込んで。せーのっ


「心配させんなよ」


言おうとした瞬間、日番谷隊長の口からでたのはすごくやさしいお言葉だった。顔を上げて、思わずガン見してしまう。隊長はそんな私をちらりと見て、報告書を文鎮の下に滑り込ませた。…え?


「い、いやあの、その報告書は」
「俺が書き足しておく。あと、利き手けがしてんなら無理すんな。フツー読めねえぞ」
「っごごごめんなさい」
「気にすんな。後で松本にやらせる」
「た、たいちょう…」
「二度とけがなんかするなよ」
「はっはい!!」


隊長は筆をとると、何事もなかったかのようにさらさらと書類を書きはじめた。「今日はもうあがれ、明日も来るな」「えっ来るなってそんな」「事務しかねえんだよ明日は。だからいい」隊長は顔もあげずにそうおっしゃる。私のことを、心配してくださっている。そっけなくてぶっきらぼうだけど、私を心配して。乱菊さんは仕事をしない人だから、あの報告書も日番谷隊長が書き直してくださるということだ。隊長もお忙しいのに、なんてやさしい。
ゆっちゃんにおいしいお菓子のお店でも聞いて、明日はそれを買いに行こう。もちろん安静にだ。そして明後日は必ず隊長においしいお茶をお出ししなくては!





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