「お、今日早いんだな」


ちょっと早く目が覚めたから外に出ると、橋の柱のそばに目立つ黄色。手にギターをもって、星はそこに立っていた。私はびっくりしすぎてうまく答えられなくて、「ウン」となんとか返すことができたくらい。話しがいのない奴!とかないと思うけど万が一思われたら嫌で、踏んでいた靴をちゃんとはくと星に向かって少し走った。


「おはよう」


久々の二人だけでの会話にどきどきする。ていうか、星と並ぶならもっとかわいい服にすればよかったなあと思う。だって星おしゃれだし、スタイルいいし。追いついて少し笑うと、星はピックを握ってない方の手をぽん、と頭においてくれた。
それだけなのにうれしくて仕方なくて、私はようやく星といるんだなあと感じる。こういうさりげない動作ひとつひとつで幸せにしてもらえるなんて、そうそうこんな人いないと思う。


「おう。久しぶりだな!」
「そうだね」
「なんか用事でもあんのか?」
「ううん。星は?早いね」
「俺?俺はな、リクの野郎を見張ってんだ」


星が見上げた方を追うと、例の新入り君の家。窓まである。あの家をまじまじと見たのは初めてで、ふうんと思った。星が見てるってことは、中にニノがいるのかな。それとも新入りが怪しいやつで、見張ってくれてるとか?


「ニノのやつ、なにも朝っぱらからあんな奴に会いに行かなくてもいいじゃねえか」


やはり前者でしたか。まあ、怪しい奴なら住人にはならないんだろうけど。誰に言うでもなく呟いただろうその言葉は、隣にいる私にはしっかり聞こえた。私が星の言葉を聞き逃すわけないでしょ。私のいちばん好きな声だし。星のばーか。星はつまらなそうで、ちょっとだけ切なさそうだった。
だから私は、反対に笑う。


「なんか言った?」


何も知らないみたいに。何も聞いてなかったみたいに。そうすると、星はなんでもないですうとおどけて笑った。だから私もそれ以上は何も言わずに、お腹へったねと言って草の上に座り込んだ。嘘、お腹なんてすいてない。星は立ったままでまだ上を見ている。


「おう、魚食いてーな」


私は歌が聞きてーよばか。





110106

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