そいつが嫌いだった。吐き気がする程に嫌悪し蔑んでいた。自分じゃ何も出来ずに後ろに付き纏って利用されていて、それを享受しているのが何より腹立たしかった。お前は一人じゃ何も出来ないというのか。出来る癖に、あの足捌きと反応は、並大抵の才能じゃない。何故有るものを無駄にする。何にそんなに縋り付く。一人で出来る。出来るだろう。お前は一人でももっと、もっともっと強く強く強く強く強く強くそれこそ弱者を食い千切り蹂躙しその存在を否定出来る程に強く為れる筈だ。一人でも、強い筈なんだ。


「不動、さん」
「きどう、さん」


一人でも、強いんだよ。





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佐久間です
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