「しずおー、はずかしい…」


そういうこいつの手は、俺の手の中に収まっている。当たり前だ。ちっちゃいんだから。
片手にアイスの入ったビニール袋ひっさげて、もう片手にはさっきっからぶーたれる女の手。なかなか充実している、なんて。可笑しくて思わず笑うと、また不満そうな声があがる。


「昔はお前がしてたじゃねぇか」
「高校生でしょ!?なんか23にもなって手ぇつないでコンビニって…ない…」
「でもしてた」
「うっ」
「そんなに嫌か?」


ちょっと小走りなこいつがかわいくてわざと大股のまま歩いていたのを、止まって思い切り手をひく。案の定そのまま俺につっこんできて、またちょっと笑った。


「あーまた笑った!」
「嫌かって聞いてんだよ」
「………そんなに、嫌じゃない」


高校ん時と立場が真逆で、している会話は一緒で。同時に噴き出すと、けたけた笑った。こうして時折なぞる記憶には、口をあけて笑うお前がいる。それをかしむように指をからめると、ちょっとだけ握り返された。なんだお前、やっぱり結構うれしかったんじゃねえか。ばかやろ。




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