アンには、ちゃんと連絡をした。少し時間がほしいと、そう切り出しただけなのに、アンは電話越しに泣きじゃくった。罪悪感がわいたが、中途半端に情けをかけるのは違う気がした。

あの店でコーヒーをテイクアウトして、裏口付近で待ってみた。今日もいたあのバイト。どうしても話がしてみたかったから仕方ない。


「…あ、この間の」
「……どうも」


1時間もしないで、彼女は出てきた。
ぱちくりとまばたきをして俺を見てくる。あ、目つき悪かったかもしんねえ。とりあえず笑いかけて。


「よかったら、話相手になってくれませんかね?」
「…はい?」
「迷ってるんです。知り合いはみんな、身近すぎて逆に話せない」


彼女は最初は困惑しきっていたが、ゆっくり笑ってくれた。その微笑みはあたたかいもので、静かにしみわたる。


「わたしでよければ」





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