「あ、不動じゃん」


にこって笑うそいつは相変わらず片頬だけえくぼができていて、笑顔は変わらねぇもんだななんて思う。ちらりと目線だけやってビールを煽ると、そいつも自分のウーロン茶を一口飲んだ。


「…飲まねえの?」
「いや、まあ、ね」
「なんだよ」
「……新婚だから酔って帰ると心配されんの」


もー、なんてふくれるのも変わらない。でもなんとなく、もう俺の知るあの馬鹿とは違う気がする。
ぺたりと当たり前のように隣に座ったそいつは、また当たり前のように俺の飲んだビールをぐびりと煽った。中学んときはわりと普通だったが、もうやべえんじゃねえの。


「飲んでいいのかよ」
「んー、ていうかもう間接キスだしね」
「…浮気志望?」
「違うって。飲まないとやってらんないから」


またぐびりと俺のビールを煽る。仕方なくつまみを食ってると、急にトーンの下がった真面目な声をかけられた。


「逃げてごめん」


旦那からか。束縛からか。現実からか。何から?俺の目を見ない事を言っているのか。
それとも、中学でされたっきり距離を置かれたあの告白か。
そいつはぽろぽろ泣いて、泣き上戸ってことで、なんていいながら俺の肩に顔を埋めてきた。知るか。い出したくもない、初恋が苦く苦く浮き上がる。





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