素っ気ない、味気もない、冷めた関係。
べつに嫌いなわけじゃない。だからといって、好きかと言われれば答えられなかったりもする。でも、確かに愛していた。


「…寝るのはや」


泊まるなんて、いやそもそも会うなんて何時ぶりだろう。なのに、ろくに話もしないで一日を終えてしまった。その上風呂に入ってる間に寝られてしまうなんて。
こちらに背を向けて眠るその背中は、丸まってとても小さかった。普通のベッドなのに、一人じゃあまってしまってる。そんな彼女を抱きしめて、他愛がない話をしながら眠るのが習慣だったというのに。


「……もう、一人でも平気?」


さみしがりで、泣き虫で、めんどくさいやつ。僕がいないとだめなんだって、そう言ってたのは何時だったか。
顔を見たくなって、頬にかかった髪を耳にかけてやる。壁を向いた顔はちゃんは見えないけど、よく赤くしていた耳とやわらかくてキスのしがいのある頬は確かにこいつの横顔だった。


「…ん、」


小さくみじろぐ。寝返りをうった彼女は、僕の前に無防備な寝顔をさらす。


「………し、ろ」


息がつまった。
するり、とあのやわらかな頬をすべる透明なしずく。胸の奥がじんとする。
もう一度れても、いいだろうか。
頬のしずくに、唇を落とす。ごめん。ちゃんと好きだよ。すごく好きだよ。愛してる。彼女の頬にまた、しずくが落ちる。それは僕の涙かもしれない。





人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -