もう案外暗いなあ、寒いなあ、なんて思いながら帰り道を歩く。と、急にだれかに肩を掴まれた。
「遅ぇ」
「…うわびっくりした」
まだワイシャツ一枚の静雄はそれはそれは寒そうで、でも筋肉ついてたらあったかいんだっけ。
まあそんなのはどうでもよくて、こんなに学校に残ってたのに待っててくれたのか。静雄は短気だから待つの苦手なはずなのに、べつに機嫌が悪そうなわけではない。
「おまたせー」
「気にすんな。そこのコンビニいたし」
「あ、いいなコンビニ。もうおでんあるよねー、あったかいの食べたいなあ」
静雄は平気そうだけど、秋だからか、やっぱりちょっと寒い。セーターの袖をひっぱって手を隠すと、静雄はけらけら笑った。
「んな寒いんだったら足出すなよ」
「やだ。これは女子高生の誇り」
「にしても短くねぇか」
「気のせい。あーさぶ」
「そんなお前にプレゼント」
静雄の薄っぺらいかばんから出てきたのは、コンビニの白いビニール袋。いい匂い。
ん、と突き出されたから受け取ると指先がじんわりあたたかくなる。かさかさ、と袋をむくと現れる、
「肉まん!」
「お疲れ様っす」
「まじで?まじで?」
「ん。やる」
照れ臭そうに鼻をかく静雄に、半分あげようと思うのと同時に、ちょっとだけときめいたのは内緒。