れよ」


背中を向けたまま、言い放れた言葉。すでに覚悟していた言葉。だから静かに手の平に爪をたてて応えない。


「聞いてる?」
「…そこそこ」
「ならうんとかすんとか言えって」


振り返ったシリウスの顔には何の感情も無くて、平然としていて、堪えたはずの涙が少しだけにじんでしまう。
知ってたよ。全然本気なんかじゃなかったことくらい。遊びですらなかったことくらい。


「終わりでいいな?」


淡々とした確認。無理矢理、拒絶する首を縦にかすかに振った。その動きで、涙がひとしずくだけ零れてしまったけれど。
シリウスはぽん、とわたしの頭に手を乗せてから、それでもう全てが終わったかのようにわたしの横を通り過ぎていった。でもそれじゃわたしの恋の終止符にはなりえなくて、えぐられた胸の奥が痛かった。




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