帰ってきた。少し無理したような笑顔で、でも胸を張って、少ししか離れてないのにまた大きくなったような気がする。
全国大会から、帰ってきた。
「白石」
バスをみんなみたいに迎えるのはなんとなく嫌で、校門の外で待っていた。思ったより少し早いような、でも予想通りとも言える。
きっとみんなより早く、完璧な笑顔で出てくるんだろうなって思ってたから。
「来てくれてたん?」
「うん」
「向こう、みんなおるで?」
「いいの」
「せっかくやし会ってくればええやん。みんな喜ぶと思うで」
「今日はいいの。白石」
「ん?」
強がりなことくらい知ってるよ。でも弱いところを見せるのが苦手なのも知ってるよ。いっつも近くで見てるんだから。
「好きだよ」
笑顔で、ゆっくりそう言うと、白石はびっくりしたような顔をして、それからくしゃりとした笑顔になった。うん。
「おん。おおきに」
「おかえり」
ぎゅ、と抱きしめる。泣かせるなんてできないけど、完璧な笑顔ははがせるよ。慰めるかわりに、こうして、あなたの真ん中にふれるよ。