「ちょ、待てって!」


最近の日課と化しているこの鬼ごっこは、彼と顔を合わせた瞬間にスタートする。お決まりのセリフとなった言葉を背中に、全力で走った。


「たすけっ、誰か!!!」
「おーがんばれー」
「助けてってば!!」


みんな遠くから見るばっかりで、誰も助けてくれやしない。肩越しに振り返ると星はもうすぐそこまできていて、また今日もつかまるのかな、って!
思った瞬間に肩にかかる手。ぎゅ、とつかまれたらわたしなんかは動けなくなってしまうわけで、よたよたと情けなくふらついてから立ち止まる羽目になってしまった。


「話、聞けって」
「いや話っていったって…!」
「お前のこと、すきかも、しれねーんだって」


息も絶え絶えに話す星からの告白に、わたしはかたかた震えることしかできない。いや、ずっと好きだったから、うれしいのに。なのに、ニノが大好きな星しか浮かんでこなくて、こんな、わたしなんかに振り向いてくれるはずないよねじゃあ夢ってことだよね、って。


「っあ待てってオイ!!!」


情けないことに、今日もわたしはげるのです。




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