息を潜めろ。柔らかな枕に頭を埋めた君の寝息に呼吸を同調。こうしてると一緒になれそうな気がする。いっそ一つの生き物に生まれれば良かったねぇ。
あの瞼の下にある丸い綺麗な目が好きで。濁りなんて欠片もない澄んだ白と黒がくるくる動いて俺を映して、秋山さん!なんて呼ぶのが何より嬉しくて。あの瞬間の歓喜は、絶対に誰にも渡せないと思う。そう考えればやっぱり彼女と分離して生まれたのは間違いではなかった。全ては彼女を基点とする。当たり前だ。生きる意味も死ぬ理由も彼女から貰うつもりで。
少し目を向ければ窓の外の紫の空に微かに金色が混ざり始めていた。細く開いていたカーテンを手を伸ばしてぴったり閉じる。暗くなる。
暗くなる。
影の中で、彼女の瞼の下で、あの綺麗な目が動いているのが分かった。夢を見ている。そこに俺はいる?他の誰かを代わりに置いてないだろうね。どうせ君のことだからたくさんの人間を頭の中で大切にもてなしてるんだろう。その輪から少し外れた俺が、ひどい顔をしているのに気付いてるのかな。きっと考えてるよ。どうやって君の周りのたくさんの生き物を、君が気付かないうちに消してしまえるか。俺と彼女しかいない綺麗な世界はきっと居心地がいい。綺麗にしよう。綺麗に。
息を潜めろ。ねぇ気付かないだろうね。俺がこんなことを考えていると知れば君は怯えるだろう。俺から逃げるだろう。だから少しも教えないよ。何にも気付かないまま俺の腕の中で眠って起きて俺を呼んで眠って、それだけの穏やかな繰り返しの中で死のうね。
さて俺と彼女は幸せになります。邪魔はやめてください。他には何もいらないから。
カーテンから光が漏れ出す。防ぎきれなくなった。ああ彼女が目を覚ます。いやまだ暫くは起きないだろう。今のうちに俺は静かにベッドを抜け出そうか。彼女が起きぬうちに済ませてしまった方がいい。
掃除。














樹さんちのヤンデレ企画に遂に便乗しちゃったコノヤロウです
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