!黒幕山ネタです



「聞いてないですよ、こんなの」
「言わなかったからな」
「どうして」
「言ったらどうした?」
「…………」
「な。言える訳が無い」
「……福永さんも、ヨコヤさんも、皆」
「犠牲者って奴だ。それにしても冷静だな」
「……そうですか?」
「泣き喚くと思ってた。俺がこのゲームの首謀者なんて知ったら、また前みたいに」
「泣いてほしかったですか」
「少しね」
「変な秋山さん」

(だってお前、俺はもうお前の隣じゃなくて前に立ち塞がってんだよ。もう誰もお前を支えないんだ)
(助けてってまた泣くんなら、まだ戻れる気がするのに)

「ゲームの説明は飲み込めたか?」
「大丈夫です」
「賢くなった」
「ずっと見てましたもん」
「ん?」
「何でもないです」
「……神崎直」
「何ですか」
「お前、自分がどんな状況にいるか分かってんの」
「賢くなったってさっき言ってくれたばっかりじゃないですか」
「逃げれば良かったのに」
「逃げられませんよ」
「事務局の連中なら俺が止めてやれるけど」
「止められるんなら、もっと早くそうするべきでした」
「そうだな」
「それにそんな理由じゃないんですよ」
「?」
「秋山さんをこんな所に置いていけません」
「…………」
「私が会場に入ってきてから、ずっとそんな風に辛そうな顔してるんですから」
「……何回も逃がそうとしたんだよ。巻き込みたくなかった」
「はい」
「こんな所見られたくなかった」
「分かってますよ」

(ああ結局、彼女の信頼を一番酷く踏みにじったのは他でもない俺であった)

「でもね、私はここにいますから」
「……神崎直」
「あなたの代わりに私が事務局を潰します。私があなたを倒します」
「…………」
「終わったら、一緒に帰りましょう。話したいことがあるんです」
「……俺もあるんだ、大切な話」
「ちょうど良いです。ねえ秋山さん」
「何」
「どうして私がこんなに冷静なのか分かりますか?」
「さあな」
「さっきルールを聞いた時に気付いたんです、必勝法」
「え」
「嘘です」
「嘘かよ」
「本当はね、秋山さんが傍にいてくれるからなんですよ」
「嘘だ」「本当ですよ」
「……神崎直」
「はい」
「始めようか」
「そうですね」






かくして私達二人は向かい合って静かに微笑み合いました。その様はどう見たって親愛に溢れる穏やかな姿でしたが、その目は確かにお互いの喉元を狙っているのです。










Title:藍日
由さんリクエストの「BADENDでHAPPYEND」でした。
あの……人様に捧げるものでどうしてこうカッ飛んだ話を書いてしまったのでしょうか我ながら
バッドエンドといえば黒幕山しか浮かばない私の発想力の貧弱さでした、そしてハッピーエンド要素のためにやたら強くなる直ちゃん……本当に大惨事
ええと、こんなので良ければメモ用紙にでも使ってやる勢いで貰ってやってくださいませ。リクエストありがとうございました!
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