貴方がいなくなるというのはいくらでも予想のできることです。例えば、私は女ですが貴方は男なので寿命から違って、それから貴方の方がずっと大人なのでやっぱりきっと、私をおいて貴方が死んでしまう確率は高いのでしょう。それに貴方のことだから、ふらりとある日私を置いてどこか遠い所に行ってしまうかもしれません。何せ私と貴方は何もかもが違う生き物です。今一緒に生きているのが不思議なくらいに。
ねぇ、私がこんなことを考えていると知ったらどうしますか。どこにも行かないとあのどこか寂しい笑い方をして抱き締めてくれるのでしょうか。それから私に見えないと思って、その顔を翳らせるのでしょう。自分のことを一番信じられないという貴方ですから。今しがた私に与えた言葉が嘘になりはしないかひっそりと恐れるのでしょう。全部分かってます。見えはしないけれど。貴方のことなら全部分かります。
心配しないでくださいと、その時は貴方の顔を見て笑おうと思っています。気を悪くするかもしれませんが聞いてもらいたいです。私、きっと貴方がいなくても何とかやっていけます。だって私は、案外一人ぼっちになることに慣れていますから。きっと貴方がいなくなった朝は暫く涙を落としてから、それからいつも通りに身支度をして朝御飯を食べて出掛けていくんです。帰ったらやっぱり貴方がいないせいで流れる涙を拭って、夕御飯を食べて一人には広いベッドの上で体を丸めて眠るんです。生きていけるんです。
だから心配なんかしないでください。私という生き物は、こんなに貴方に救われた命だというのに、悲しいけどやっぱり貴方とは別個の生き物なんだなあと思います。貴方が私を捨てていってしまったり、捨てたくないのに遠くにいってしまったりしたって、次の瞬間私が消えてしまうということは、ないんです。こんなに大好きなのに。私の命が貴方の命の上に根付いていればこんなに良いことはなかったのですけど。
だから安心してくださいね。逆もそうなんですよ。私が貴方を嫌いになる日なんか来ないけれど、もしかしたら貴方を置いて死んでしまう日は来るかもしれません。だけど貴方はそれでも生きていけるんです。追いかけてくるなんてやめてくださいね。
そこまで言ったら貴方はひどく悲しそうな顔をするのでしょうね。一言、無理だよと。
そうですね。私は笑おうとして涙を溢します。
離れたって生きていけるから寂しいのです。生きていけるのが寂しくて悔しくて、死んでしまいます。










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