(学パロは止まらない)



「マジでウケるんですけどぉ。ねぇ何なの直ちゃん直ちゃん、刷り込みが大脳新皮質ぶち抜いて芯まで到達しちゃった雛鳥みたいによちよちあいつの背中追っ掛けてたくせにさぁ」
「秋山先輩が酷いんですもん」
ぐすんと鼻を鳴らして椅子の上で膝を抱えた私に福永先輩は溜め息をついて、ついでにしっかり鼻で笑って眼鏡を押し上げた。そのくせ何だか苛々してるようにも見える。
「何したの」
「自分のクラスの教室が分からないって人を案内しようとしただけなんですよ」
「あーもう馬鹿馬鹿、どこの世にそんなメルヘン脳の高校生がいるよ?どうせ男でしょ」
「凄いです、どうして分かるんですか」
「分からないのは君だけなの。でぇ、そこにまた颯爽とあの主席野郎が現れてそいつ締め上げて一件落着?いや一応明日の新聞見とこうかなぁ、町内で男子高生が何者かに暴行され重傷、目撃者の証言によると犯人は白髪と人形女の二人組、みたいなー」
「え?」
「君には一生分からないことなの」
本当に私の先輩達は頭の良い人達ばかりで、私はよく先輩達の思考についていけないまま一人で首を傾げていることが多い。大抵は秋山先輩が呆れ顔をしながらもわざわざ分かりやすく状況の説明をしてくれるんだけど、今は部室には私と福永先輩しかいないのだ。自販機で買ってきたメロンソーダをぐいぐい飲み干す先輩は何にも教えてくれようとはしない。
「でもって直ちゃんは散々秋山に説教された訳ね」
「だけど、困ってる人を見捨てるのは良くないです」
「あのね世の中にはそんなこっ恥ずかしい親切心に漬け込んでそのお人好しを骨の髄までしゃぶり尽くすような奴等が山ほどいてさぁ……てかこれも秋山が言ったでしょう」
「言ってました」
「ほらねー!」
何だか悔しそうに先輩はペットボトルを振り回して吠えた。埃っぽい部室に緑色のきらきらした水がぱっと飛び散った。ああまた秋山先輩に怒られる。タオルどこにやったっけ。
「どうしたんですか」
「どうしたもこうしたもね!何か本気で自分が腹立たしくてさこれマジで直ちゃんのせいだから!」
「えええ!?」
私よりも何歩も先をいく福永先輩の怒りの理由はやっぱり私には分からなかった。強い口調で要求された通り携帯を渡すとボタンを壊しそうな勢いで操作してすぐに耳に当てる。
「秋山!?こら切るな!お前他の奴等からの電話には一切出ないからわざわざ直ちゃんの携帯使ってんだよ、そうだよ直ちゃん!いいから早く部室来て直ちゃん連れて帰ってよマジで!お前ら本当に鬱陶しいから!嫌とか言うなどうせ強く言い過ぎたこと後悔してるくせに意地張るなっての、あとキノコって言うな!」
電波の向こうで秋山先輩が何か言うのを無視した福永先輩は勢いよく電源ボタンを押して私の手に携帯と床に置いていた鞄を押し付けて、それから私を部室の外にぽいと放り出した。
「せ、先輩!」
「直ちゃん」
いつになく厳しい顔がぴっと指を眉間に突き付けてくる。
「秋山と仲直りしてきなさい!」
ぱぁん、と扉が目の前で閉じた。

















ほだされて秋山達と思考が似通ってきたのが悔しい人。
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