例えば、目の前で名も知らない誰かが困っていたら彼女は笑ってそっと手を差し伸べるのだろう。特異な人間だと思う。誰かの幸せが自分の幸せだなんて、綺麗事並べてるって笑えるだろ？俺も最初は馬鹿にしてたよ。でも彼女はどこまでも本気なんだ。

ちっぽけな両の手で救いあげたすべてを何一つこぼしたくないと泣く姿を見ていると、いつかの自分を思い出して胸が苦しくなる。幼さ故の潔癖さ、清らかな心と世間知らずの理想論。でも彼女は馬鹿じゃないから全てを救うなんて到底無理だと、自分１人の力じゃ何も変えられやしないと判っている。だから自分の無力さが悔しくて泣く。

ああ、いとおしいなあ。

誰かの為に涙を流せる彼女の優しい心を守りたい。その為ならば人を欺くことも傷つけることも出来るよ。だって世界中見回しても笑っていて欲しいのは君だけなんだ。俺はね、君が思うほど良い人間じゃない。世界中で君だけが笑っていられればいい、他はどうなっても構わない。そういう利己的な男だよ。
でもそんなこと言ったら、君はまた怒るんだろうなあ。そんなことないです秋山さんは優しいです温かいですとかナントカ。君があまりにも俺を買い被って、ほめちぎるから自分が本当は良い奴なのかなんて勘違いしそうになる。

世界を救いたい優しい君と、君が幸せならばそれでいい僕。
他の誰でもない、君が微笑んでくれるなら


　　　　　　　　　僕
　　　　　　　　　が
　　　　　　　　　世
　　　　　　　　　界
　　　　　　　　　を
　　　　　　　　　救
　　　　　　　　　う
　　　　　　　　　の
　　　　　　　　　で



安心してくれ。打算だらけの利己的なヒーローだけど、敵は徹底的に潰してやるよ。













曖昧のnoniさんから頂きました！
直ちゃんをでれでれに可愛がる秋山という、欲望だだもれのリクエストをさせていただいたのです。みてこれ……！なんだこのかっこいいヒーロー！直ちゃんのためだったら世界の一つや二つ救ってくれちゃう秋山！そしてその彼を支えるのはやっぱり世界の中心直ちゃんというね！秋直万歳！
素晴らしい小説をありがとうございました！