静寂を破って彼女が啼いた。
それはか細く、微かに震えていた。
しかしその声は一つの可憐さを含んでいて、思わずぶるりと背筋が震えた。

「どうした?反省したか?」
「、あきやまさん」
「ちゃんと謝るまで、外は見れないよ」

自分でも馬鹿げているとは思う。愛しい筈の彼女の目をふさぐなんて!自分がしたとはいえ、何の抵抗も出来ずにいる彼女を見るのは辛い。
だが同時に束縛しているという現実に、狂おしい程歓喜している自分もいる。
弱った彼女は自分しか頼る相手が居ないなんて、これほど素晴らしい状況があるだろうか。いっそ彼女の目を奪い、一生このままでもいいかもしれない。

「ねえ」
「…はい」
「反省しない悪い子には、お仕置きが必要だよなあ?」
「お仕置き、でしょうか」
「一生このまま、なんてのは?それともこの部屋から一生出られない、なんてのもいいね」

くつくつとわざとらしく笑えば、身動きをぴたりと止めて、まるで心臓の音が聴こえなくなった時のように青ざめていた。
その反応が可愛くて、椅子に座ったままの彼女を抱き締めた。

「元はと言えば、君が悪いんじゃないか」
「…ごめんなさい」
「約束を守るって決めたの、だれ」
「ごめんなさいっ」
「馬鹿馬鹿、馬鹿正直」

腕の中の彼女は子どものように泣きじゃくっている。
その涙は罪の意識によるものか、恐怖によるものか、識別は出来なかった。

「そんなに謝るなら、許してあげるよ」
「ごめんなさい」
「今度からは、気をつけてね」

なるべく優しく諭し、ゆっくりと彼女の視界を広げる。
はらり、と布が落ちるのを見つめていた彼女の目は相変わらず美しく、処女の匂いがしていた。
その美しい彼女の目に自分以外が写ることに、戸惑いを覚える。どうして彼女は平気なのだろう。何故、好いてもいない相手に笑いかけたりなんかするのだろう。醜い感情が好奇心を覚えて疼きだす。
何故、なんで、どうして。彼女は自分に執着してはないのだろうか。自分の代わりが世の中にいるなんて考えると気が狂いそうになる。そうして気が狂いそうになる度、彼女をこうして可笑しな具合に閉じ込めるのだ。悪魔が恋をするなんて、馬鹿げていたのかも知れない。ふと悲しい考えに脳を浸らせていたら、彼女が腫れた目でにっこりと笑った。

「あきやまさん」
「何」
「あきやまさん」
「…」
「だいすきですよ」

屈託なく微笑まれるのだから、始末に終えない。赤ん坊のように無垢な唇は優しく歪み、なんともいえぬ気持ちにさせられる。
この不安は、どちらかが諦めない限りずっと続くであろう。
彼女は最後にもう一つ、にへりと笑うと寝息を立て始めた。
そのなんともこの場の似つかわしくない寝顔は、今現在この空間、時間、次元においての平和だった。
紛れも無く俺自身が傷付けた、彼女の時間、そのものが。

「これだけ、言わせて」

ごめんね、傷付けて、ごめんね。
だいすき、

きっと聴いてはいないだろう。
それでもいい。
結局は自己満足。彼女を使った一人遊びなのだ。
今はこうして落ち着いているけど、いつまた行為に及ぶか、わからない。
一体、いくつ彼女に詫びればいいのだろう。一つ、二つ、また一つと増えていく。
それでも彼女は受け入れるのだ。その愚かさがたまらなく愛しい。
もし自分は最期に、彼女に謝れるだろうか。それだけがなんだか気懸かりだった。







ヤンデレ山の母こと樹さんから頂きましたぜ……
ヤンデレ山をお願いしたらなんかもう……目隠しプレイ……だと……!?(落ち着け)すいませんちょっと深呼吸してきます
この直ちゃんに依存しきった秋山ですよ!病んだ愛!直ちゃんのことが大事すぎる父性の行く末!思えば私がヤンデレ山に目覚めたきっかけは樹さんちのヤンデレでした
さて皆さん本家の威力を目の当たりにしましたね、さあ拙宅のブクマよりドロレス・ヘイズにGO!素敵なヤンデレ山が出迎えてくれるよ!
樹さん本当にありがとうございました
改めて10000Hitおめでとうございます!

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