(色々注意)
(各方面にごめんなさい)



笑わせんなよ。言ってやりたかった。噛み締めた唇の端からでも捻り出してやりたかった。醒めた皮膚の下。耳障りに鳴るスプリングの上。遠くで犬が吠えた。
綺麗な顔した男だと思った。上っ面が。剥がれてしまえ。押し込められてんのはお互い様のくせに。荒くなった息の割にどこまでも乾いた目が視線を落としてくる。要求通り目を閉じてやった、満足か。律動に耐えながら勝手に頭が巡った。
下手じゃないくせにここまで女を不快にさせるなんて一種の才能なんだろうなシャワー浴びたい、薄く開いた視界を突き刺すピアスの光が鬱陶しい。ぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃ、覆い被さった。
客が何を思おうがこっちの知ったことじゃないし大体訳分からない要求吹っ掛けられてる相手を気にする優しさなんて持ち合わせてないから、ついでに込み上げてた吐き気をそれこそこいつにぶちまけてやってもいいと半分本気で思った。今誰犯してんの。誰のナカ突き上げてるつもりなの。
同情してやるほど気に入りはしなかった。顔は良かったけど。上っ面剥がしたらどうせ、馬鹿みたいな苦悶がびっしり張り巡らされてるだろう。透けて見えた。ただ馬鹿だと思った。
投げられた金は相場以上の額でそれが余計に馬鹿馬鹿しかったからせめて吐いた捨て台詞くさい悪態も我ながら不毛だった。抱けない女がいる?だから何。


この男は何をしてんだ。
安い誠実さえ捨てられないなら捨てる振りなんかしなきゃいいのに。


出てきたばかりの廃墟くさいマンションを振り返る。ぶっ潰れろ。あの男を支える訳の分からない柱を叩き折ってやれ。
結局やったのは誰だ。体の奥に残した違和感。あの男が犯したのは結局誰ですか。私に似た女か、あの男そのものか。
そういえばあいつ、あの瞬間誰かの名前を溢した。あの場には全く似合わない綺麗な、切実な呼び方をしてたっけ。
「う゛」
喉の奥広がる胃液の味。











ヒホさんごめんなさい

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