2010/12/20 03:50

青祓の雪燐です、他ジャンルです。
雪ちゃんがいじめっ子です、そんな雪ちゃんがマジぷまいです。








夜遅く、僕が寝る前にたまにすることがある。
ここのところ毎日しているような気もするので、もはや日課と呼んでいいのかもしれない。
邪魔な眼鏡を外して、ベッドですやすや眠る兄さんの隣に座る。
起きているはあんなに騒がしい兄も、寝ている時はまさに天使……いや、静かで可愛いげがあると思う。
兄さんは元気に健やかな寝息をたて、簡単には起きそうにない様子だった。
それを確かめると兄さんの両側の頬を挟み込む。それはまさに漫画でつかうような効果音「むぎゅ」にピッタリあう絵面で、本当に愉快な気持ちになった。
しばらくその「むぎゅ」を繰り返し「むぎゅむぎゅむぎゅ」を続けていると、流石の兄さんも起きはしないものの寝苦しそうな声を漏らす。でも、その声すらも僕の両頬の悪戯により不確かなものとなる。正直……馬鹿だなコイツと思った。

「ひっどい顔……仮にも僕と同じ顔なんだからそんな無様な表情をしないでよ、腹が立つ」

どんなに酷い言葉をかけたって相手は返事をしない。深い眠りからはまだ目覚めないみたい。

「本当に……同じ顔、違うのは眼鏡と黒子と髪型ぐらい」

兄さんの頬から顔全体へと両手をそえる。自分とそっくりな相手の顔をすっぽりと覆えてしまうことに、若干驚いた。
ちっさい顔、兄が小さいということは自分もそうなのかもしれない。なんせ同じ顔なのだから。

「僕らの顔はこんなにも同じなのに、なんで僕は人間で兄さんは悪魔、違うものなんだろうね?」

自分とは違う兄さんの尖った耳、口の中からのぞく牙、長く伸びた尻尾、そして青い炎。
自分とは違う兄さんの部分、全部が憎たらしい。せっかく僕らは双子、誰よりも大切な半身同士なのに。

「せめて同じ祓魔師に……」

耳を削げ落として、牙を抜いて、尻尾を切り落として、真っ暗な部屋に閉じ込める。
そうしようと思ったことは少なからずあるけれど、本当にしないのは兄のため。そんなことしたら兄さん、泣いちゃうでしょう?別に泣かせたいわけじゃないんだよ?

本当に、なんでこんなに違うのか。
僕は兄さんほどいい奴じゃない、曲がりに曲がりまくって歪んでいるよ。


最後に日課となりつつある額にキスをして、兄さんとは違うベッドへと入る。
兄さんが起きている時にこんなこと、できないと思う絶対に。








(翌朝)
「なぁ、雪男」
「なに?兄さん」
「なんかこの頃、雪男に顔踏まれる夢をよくみるんだけど、これなんかの暗示だと思わね?」
「さぁ、どうだろうね」
「朝起きると、なんか頬っぺた痛ぇしよー」
「クロに叩かれてるんじゃないの?」
「なんだそれ、クロって寝相ひどいのか?」
「猫でも寝相はひどいんじゃないの?」
「……ふーん、そっか、そうだな」
「(コイツまじちょろいな)」
「なにニヤニヤしてんだよ、ひっどい顔」
「兄さんほどじゃないよ」
「は?なんだよ、気持ち悪」

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