2011/09/07 04:07

 錆びたドアを開けば、みえた満天の青空。それがあまりにも青すぎて目が痛むほどだった。
 その青空の真ん中で、長い髪を風に靡かせた姉さんが、僕の方を振り返って、あからさまに嫌そうな顔をした。

「見つけた、姉さん。」
「……。」
「そんな所にいたら危ないよ。」

 返事を返してくれない姉さんは、僕に背を向けて、深く息を吸い、そして深くため息を吐いた。彼女の後ろ姿しか見えないけれど、それを呼吸の音と上下した肩の動きで分かる。

「死ぬ、つもりなの?」
「……。」

 やはり、返事はない。

 にわかに信じられないことだけど、どうやら僕の姉さんは自殺を図っているらしい。
 僕らが暮らしている寮の屋上、姉さんは柵を乗り越えて、足場の狭い場所に突っ立っている。もし足を前へと踏み出せば、姉さんの体は重力にしたがって、数百メートル下、地面へとまっすぐ落ちてきっと命も落とすだろう。


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