2011/08/07 04:01

※遊馬崎さん×帝人君。
※遊馬崎さん←帝人君。
※帝人君頭悪いです。









 眩暈くらり、星が回る、まるで地球が回っているようだ。
 一目ひらりと、落ちた落ちた、何が落ちた?

 くるりくらりぐらりと、全身を、真っ赤な血が一瞬にしてかけ巡った時のような、視界が歪むのちの浮遊感。心臓の音がハートを鳴らす、回る回る、真っ赤な血と一緒になってかけ巡る、生まれてはじめて感じたこの想い。
 地球は自転と公転を繰り返して、いつしか止まる事が出来なくなってしまったみたい。数多の鼓動を途絶えないようにと、くるりくるりと、眩暈ぐらり。
 眩暈ぐらいと油断していれば、気付いた時には空と地面がひっくり返った後だった。
 空からみる星は綺麗で、キラリと光る髪の毛に、ぎらりと鋭い眼差しに、ぞわりと鳥肌が立つぐらいに魅了される。

 ハッと気付けば、一目惚れ、ふとした瞬間落ちていった。ベッドの上で目を覚ませば、殆呆れた面持ちの彼が誰かと話しているようだった。
 落ちた落ちた、何が落ちた?
 僕はあなたに恋に落ちました。




「……貧血か、こいつ見ない顔だけどお前の知り合いか?」
「いやいやいやいや、知らないっすよ、こんな少年。いきなり抱き着いてきたと思ったら、そのままふらっと倒れちゃったんすよ。」
「貧血を起こして眩暈、倒れる瞬間近くにいたお前に抱き着いてしまい、体勢を立て直そうとしたがそのまま気を失った、ってことか。」
「…………。」
「ん?どうした、遊馬崎。」
「いやー、俺の聞き間違いかも知れないんすけど、この少年、気を失う前に満面の笑みで、」
「結婚して下さい!」
「って言ったんす……よ、え?」
「ん?」
「あなたの事が好きです、結婚して下さい!!」
「!?」
「………………えっと、目を覚ましたんすね、思ったより元気そうで良かったっす、貧血で倒れた君を病院まで運ばせてもらいました、先生によると軽い症状らしいので目が覚めて落ち着いたら帰宅して大丈夫らしいっす、そして結婚はしませんごめんなさい」
「えっ何でですか!?」
「お家の方に知らない人にはついて行くなと言われているからっす」
「はじめまして、竜ヶ峰帝人と申します。以後お見知り置きを、結婚して下さい。」
「あっ、はじめまして、遊馬崎ウォーカーと申します。こちらは君をここまで運ぶために車の手配をしてくれた俺の先輩、門田さんっす。結婚はしません。」
「あぁ、ご迷惑をおかけしてしまってごめんなさい、ありがとうございました。後日改めてお礼をさせてもらえませんか?それと、ご迷惑ついでに結婚して下さい。」
「お礼なんていいんすよ。『人の役に立て』とじっちゃんに言われて育ったので、困った人は助けずにはいられない質なんすから。それと、俺は結婚を安売りするつもりはないですごめんなさい。」
「なんて心優しい人なんだ、さらに好きになりました、胸の鼓動が高ぶりすぎて、口から心臓を吐き出しそう。」
「心臓を吐き出されても対処できないので飲み込んで下さい、それと、えっと、帝人君?君の携帯さっきから震えてるっすよ。」
「自分の心臓の震えで気が付きませんでした。正臣から、あっ、正臣は僕の友人です、正臣から電話……だけどいいや、僕と遊馬崎さんの時間を正臣なんぞに邪魔されたくないので。」
「いや、出て下さい、激しくその電話に出て欲しいっす。」
「ウォーカーさん、婚姻届はいつ出しに生きますか?明日?明後日?それともこれから出しに行きますか?」
「門田さーん、助けてー。」
「やめろ、俺をその会話に巻き込むな。電波飛んじゃってるようなタイプと会話するの苦手なんだよ。」
「俺だって苦手っすよー!」
「お前、電波な子好きって言ってたじゃねーか。良かったな、理想の婚約者と巡り会えて。」
「俺が好きなのは電波少女っす!電波野郎じゃないっす!それにエリオはこんなに積極的じゃないっすよ、肉食系じゃないっすよ、ガツガツ婚約を押し付けてこないっすよ!!」

 この日、俺はとんでもない少年と出会ってしまった。その出会いにより今後、俺が長年夢見続けていたハートフルでハートフルボッコな日常を手にすることができるのだが、と共に俺はこの少年との婚約フラグという有り難迷惑なフラグも手にしてしまうこととなる。


「結婚して下さい!」
「遠慮します!!」

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