2011/07/31 02:41

「この広い世界の中から誰かを好きになって、その誰かさんに自分を好きになってもらう。」

ん?

「たったそれだけの事なのに、恋ってなんて面倒なんだろう。」

なんだ、帝人君にしては珍しい、恋愛話だなんてどんな心境変化?

「いや、特に何があったってわけじゃないんですけどね、色々考えていたら感慨深く、それはもう気分が悪くて吐いちゃいそうなくらい感慨深い気持ちになったので」

そういえば顔色が冴えないね。どんだけ考え込んでるの?そんな不毛な考えに君の貴重な脳みそを浪費なんてして、君って本当に馬鹿だねえ。

「は?人間は試行錯誤ばかりが重要ではない、たまには答えも目的もない不毛な思考に溺れてしまうのも大事だよ、って言っていたのは貴方でしたよね。」

あれ、俺、そんなこと言ったけ?

「……もう大人なんですから、自分の発言に責任を持って下さいね。」

責任を負わされるのが大人の役目だというなら、俺は大人になんてなりたくないね!

「あぁ、そうか。そもそも臨也さんは、厨二病を卒業するというステップで躓くような人でしたね。」

この頃の君は、俺に対して辛辣な言葉しかよこしてこないよね。

「言葉のキャッチボールが成り立っている分、まだましだと思いますよ?」

…………そうだね。









「恋は盲目、故に人は大事なことが見えなくなって、恋の闇、理性を失ってエゴに飲み込まれ思い込みは激しくなり、恋は戦争、あっこれはことわざじゃないんだけ?まぁ、とにかく戦争つまり面倒事ばかりを巻き起こす。そんな恋が引き起こす病には薬無し。恋愛経験値がスライム並な僕みたいな人間には、恋は思案の外、予測不可能な恋の成り行きに戸惑うばかり。あぁ、もう、本当に、色々な意味で、恋は曲者。」

でも、そんな事を言う君が一番、恋に恋しちゃっているように見えるけどね。

「だって、素敵な恋がしてみたいのです。」

恋を経験するために、自分を好いてくれる人を利用するねぇ。君らしいと言えば君らしいけども。

「誰かが僕を好きになって、僕に恋というものをさせてくれないかなぁ……。」

まぁ、嘘付きな俺でもいいのなら、俺が君に嘘っぽい愛を囁いて、今すぐにでも君のそのお願いを叶えてあげられるけどね。

「臨也さんは嫌ですダメです、絶対に。」

なんで?

「だって、ほら」








嘘から出た誠。
「貴方が僕を、僕が貴方を、最後は愛してしまうことになるでしょう?」

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