2011/06/06 03:32

 青春と花火は一瞬にして煌びやか。その一時に人々は心打たれ心震わし心酔い痴れ、笑い、泣き、時には高ぶった感情を全身を使って表現することだってある。赤、青、緑、黄色、その一瞬に人々は色々なことを感じ取るのだ。
 そして煌々と光り焼け残った花火は、真っ黒な水みたいな静寂の中にダイブしてぐずぐずとなってお終いだ。

 青春と花火は一瞬にして煌びやか、愛しさと切なさと心強よさと、それから気怠さなどの不純物ごと無理矢理燃やし、最後は夜めいた黒に散っていく。
 幼けない愛しさは、刹那に切なく、心強さは時に心許無い、残った気怠さは青春の名のもとに獣となって君に襲い掛かって来るだろう。




 祭の後に残るのが胸いっぱいに残る思い出ならば、両手では触れられない記憶ならば、せめてその輝かしいひと時を、君には大事にしてほしい。
 思い出は本当に淋しがり屋な奴で、君が両目ふさいじゃっているその隙に、どころかの空気の中へと逃げて行ってしまうので、どうか思い出と良き友人になってあげていただきたい。

 居場所を探して迷子になっている、君の事を話しているんだよ。

 帝人君。

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