2011/06/03 04:46

 一度振り出すと果てが見えない。
 パラパラパラパラと、雨は降る。
 気持ちの沈むこの季節は毎年、どうにも厄介で苦手だ。

 また今日も回すことのできなかった洗濯機に、たまりにたまったこの洗濯籠、すでに雨の日キャンペーンは一週間を超えている。室内干しにも挑戦してみたが生乾きの独特な匂いとは仲良くできないらしく一日目にて挫折した、二日目からは憂鬱な気分との戦いである。
 カーテンを開くと空は灰色、重たい雲がこれからまだまだ続く雨の日キャンペーンの長さを語っていた。押し出されたようなため息がひとつ、一度息を吸ってまたひとつ、おまけとばかりにまたひとつ続く。こんな歯切れの悪いため息は、この一週間だけで両手の指の数では足りなくなってしまった。折り曲げられたすべての指を開ききった時、僕は数を数えるのを止めた。と共に、この憂鬱な気分と真正面から向き合うのも極力避けることにした。いわゆる一種の自己防衛、憂鬱の「うつ」は「鬱」と書く。この年で「うつ病」にはなりたくない。
 雨の日が続く毎日は、どうにも厄介で苦手だ。
 いつ止むのか分からない雨に気持ちは沈み、洗濯物はたまって、外に出ればスニーカーは泥水で汚れ、乾ききったパリッとした衣類は着れず、どことなく体はちょっとだるい。
 ため息の数が増えてしまうのも仕方がない。


 穏やかに過ぎる時間の中で、果てのない憂鬱の雨に悩まされる。


comment (0)


prev | next

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -