2011/05/26 04:11

そういえば兄さんは、悪魔なのに背中に羽は生えてないよね。いや、だって、聖書では天使には白い翼で悪魔には黒い羽でしょう?それに兄さんは人型の悪魔なんだし、その体は借り物の器じゃない自前のものじゃないか。牙と尻尾は生えてるわけだし、羽も生えていたって不思議じゃないよね。いや、不思議って言葉でいうのもなんだけど、不思議なんて域はもうとっくに卓越しているわけだし、もう兄さんの体がどうなろうと僕はたぶんもう動じないと思うんだよね。いややっぱ今の取り消し、羽なんて生えたらダメだよ。ダメダメ、却下。だって羽が生えたら兄さんは勝手にどっかに飛んでいってしまうでしょう?今の時点で押さえ込むのに苦労しているっていうのに、さらに自由に飛び回れるようになってしまったら僕のライフポイントが0になってしまうよ。そうなるくらいなら兄さんの羽なんて今すぐ切り落として、この部屋に閉じ込めて、僕がいないと生きていけないようにしてあげるよ。大丈夫、僕は兄さんのそばにずっといるから、安心でしょう。兄さんが何処か遠くに飛んでいってしまうなんて僕には考えられないし考えたくもないよ。だからね、兄さん、僕に全部任せてね。









「いや、飛ばねえし飛べねえよ」
「…………」
「切り落とす羽もねえよ、雪男、お前疲れてんだろ、顔色悪いし」
「顔色が悪いのはね、疲れているせいじゃないんだよ、兄さん」
「じゃ、なんのせいだってんだよ」
「兄さんが昨日破壊した自動販売機と自転車の弁償金の資料とにらめっこしたせいかな」
「………………」
「頭が痛いよ」
「ご、ごめん」
「いいんだよ、別に、ほんと」
「顔が怖ぇよ」
「あ た り ま え だ ろ、なんでちょっと目を離しただけで未曾有の大事故巻き起こしてんの!?」
「だから、ごめんて!!」
「謝ってすんだら警察いらねぇんだよ」

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