2011/05/20 17:22

「黒子って数えると増えるらしいぜ」
「え!?」
「アンディがいってたぞ」
「アンディって、保健室の安藤先生のこと?」
「あぁ」
「……でも安藤先生すぐに嘘つくよ?」
「嘘?」
「うん、この前も女子たちに雲の上にはお城があって可愛い女の子がそこで暮してるんだって言ってた」
「天空の城ラピュタか……」
「らぴゅ?」
「いや、何でもない」
「?」
「じゃあ、本当にアンディが嘘つきか確かめてみようぜ」
「うーん、どうやって?」
「だから本当に黒子は数えると増えるのか実験すんの」
「……兄さん、誰の黒子を数える気?もしかして僕のじゃないよ、ね?」
「少ないものより、多いものを数えたほうが楽しいと思う」
「…………」
「ってことでお前、脱げ」
「いやだ」
「上だけでいいからー、脱ーげー」
「何で黒子数えるのに脱がなきゃいけないの!いやだ!」
「脱がなきゃ数えられないだろ!」
「兄さんの黒子を数えればいいだろ!これ以上僕の黒子が増えたらどうすんの!黒子で僕の体が真っ黒になったらどうすんの!」
「その時は父さんに、雪男の名前を『まっくろくろすけ』に変えてもらうようにお願いするから!いいだろ、奥村まっくろくろすけ!可愛いだろ!さらに女子にモテるぞお前!」
「兄さん、クラスの女子たちに嫌われてるんだから、兄さんが『まっくろくろすけ』に名前変えて、モテればいいじゃないか!」
「お前嫌な奴だなほんとに!むかつく!」
「ムカついてもいいから、僕の黒子を数えるな!増える!」
「増えろ!」
「拒否!」
「却下!」
「却下返し!」
「テメーこういう時だけ子供くさい事いうんじゃねー!」
「僕らはまだ子供だよ兄さん!」
「雪男のバーカ!」
「兄さんの不良!」
「俺がいつ不良になった馬鹿!雪男のまっくろくろすけ!」
「学校行かないのは十分不良だって父さんが言ってたよ!兄さんの反抗期!」
「反抗期とか恥ずかしい呼び方すんな、バーカバーカバーカ!」
「おいお前ら、喧嘩すんのは別にいいけどよ、部屋の家具ぶっ壊したら今日の晩御飯なしにするからな。そこら辺ちゃんと考えた上で喧嘩しろよ、クソ餓鬼共」
「雪男が黒子数えさせてくれねーんだもん!」
「テメーは自分の出席日数の数でも数えてろ、中学生にして進級の危機とか洒落にならんぞお前」
「兄さんが脱がしてきた!」
「脱がし返すくらいできる男になれ、将来役に立つぞ」
「雪男が俺のこと不良って言ってきた!」
「授業もろくに出らん奴を、不良以外のなんていえばいいんだ、あん?」
「兄さんが僕のこと『まっくろくろすけ』って言った!」
「『まっくろくろすけ』はジブリ上の生物だから安心しろ」
「奥村神父、『空想上』の言い方の方がいいんじゃないんですか」
「ジブリの世界には存在すんだからいいんだよ。長友、お前はもうちょい現実と空想とジブリを勉強して来い馬鹿野郎」
「……勉強不足でした」
「うんうんって、クソ餓鬼共!何、窓割ってんだ、泣かすぞ!!!」
「雪男がわった!」
「兄さんがわった!」
「連帯責任……歯ぁ食いしばれ」








次の日、保健室にて

「何、君ら二人して顔に怪我してるけど喧嘩でもしたの?」
「お前のせいだ、アンディ」
「?」



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