2011/01/30 17:11

※ミルフィオーレとボンゴレが同盟を組んでいる、パラレルワールドのお話です。
※正チャン出てきません。















アンティパスト、プリモピアット、セコンドピアット、コントルノ。
たまに他愛もない会話をし、二人の静かな食事会はすすむ。
最後にドルチェが運ばれて、口にふくめば甘みが広がる。
ふと、今まで言葉数の少なかった男が重々しく口を開いた。

「お前さ、なんで入江君と寝ているの」

……食事中になんて下品な話をしだすんだ、この男。
みると相手はナイフとフォークの手を止めて、まるで睨むかのようにじっとこちらを見ていた。
ボンゴレ遺伝子特有の超直感で俺の心の中を覗くつもりなのか。そんな事しなくても隠すつもりはないんだけど、不躾に人のことをじろじろと見るもんじゃないと思うよ。

「そりゃ正チャンの事を愛しているからね、したいと思うのは本能でしょう?」

答えが気に入らなかったのか、相手は鼻をフンッと鳴らし笑ってみせた。
持っていたフォークを皿へと突き刺し、不穏な音を響かせ皿はフォーク諸共使い物にならなくなってしまった。
顔だけみると笑っていたが、相手は何故か怒っている。そう雰囲気が語っていたが、その理由が自分には思い付かないので仕方がない。気にしないことにした。

「入江君はやっぱり、俺のところで働いてもらうよ。いいだろ?」
「僕は別にいいけど、正チャンが承諾してくれるかなー?」
「入江君のところに今、説得に行ってもらってるよ」
「……誰に?」
「スパナ、あいつなら昔から入江君と仲良いみたいだし」
「ふーん、そう」
「寵愛する部下を奪われて悔しいか?」

指を組み、足を組む。
いつもは童顔で頼りない印象付けるはずの男の顔には、今は不敵な笑みを浮かべていた。
一見弱小な男にみえて、本質は頑固でいて正義感に溢れる。ファミリーの事を思うが故に時々残酷なことを口走り、誰が自分の味方で誰が敵なのか選別できる頭のいい奴でもあった。幼げな顔をして血に汚れたドン・ボンゴレ。
そんな二面性のある男に心惹かれて同盟の話を持ちかけたのは自分だが、こんなにもお節介な男だったとは少し後悔してしまう。
この男が彼のことを気に入っていることは知っていたが、こんなにも堂々と引き抜かれるとは。本当に恐ろしい人間だよ。

「別に、正チャンぐらいの人材なら探せばいくらでもいるからね」
「そう」
「残念だね、悔しがる僕の顔がみれなくて」
「本当に。でもその代わりに入江君という素晴らしい人材を手に入れられたんだ、満足しているよ」
「……」

ドルチェの皿を下げさせて、食後にエスプレッソを持ってくるよう頼んだ相手は、熱いカップの中を冷ますように息を吹きかける。

「最後にもう一度聞くけど、お前はなんで入江君と寝るの」
「大学時代から彼で性欲処理をしていた、彼ならお手軽にできるから今もそれが続いている。っていう答えじゃダメかな?」
「……不健全な関係」
「ツナ君には言われたくないけどね、守護者達とはどうなったの?」
「うちはお前達よりは健全だよ」
「僕達だってお互いに代わりができれば健全な関係に戻るよ」
「…………入江君じゃないと勃たない奴がよくいうよ」
「えー?」
「その意味、胸に手を当ててちゃんと考えてみれば?」




ボンゴレ十代目は自身の家庭教師と守護者達を引き連れて帰っていった。
同盟ファミリーへ食事会に行くためだけに、なんと強力な戦力達をお連れさせるのだ。ましては全員。
結局あちら側の寵愛ぶりも異常なのだ、人のことを言えない。

男が帰っていった後に残ったカップを握りしめると、案外簡単にも割れてしまった。
こんなにも壊れやすい人間の分際で俺の彼への愛を貶すとは。



「もしもし僕だけど、今すぐ入江正一を呼んでもらえる?引き抜きの件を妨害してこい」

「もし、あいつらが妨害を邪魔するようなら…………ボンゴレを潰せ。何がなんでも入江正一をとりかえせ」



ミルフィオーレ、俺と彼の未来のために作った組織。
ドルチェ、甘く優しい甘美な彼への愛。

俺から正チャンを取り上げるつもり?
よろしいならば戦争だ。



END

comment (0)


prev | next

第4回BLove小説・漫画コンテスト応募作品募集中!
テーマ「推しとの恋」
- ナノ -