2011/01/28 02:00

※男の娘(?)攻めです。
※臨也さんがセーラー服です。
※電波な文です。












世界はいじわるだ。
揉んでも俺の胸は膨らまないし、押しても押しても喉仏は潰れない。
体のラインは女性ものの曲線ではなく、筋肉質な直線が自分を形作る。
眉目秀麗だなんて、男の形をした俺に対しての褒め言葉。嬉しくもなんともない、むしろ腹立たしいくらいで不愉快だ。
それでも人は"俺"を褒め讃えて、"俺"を愛していく。俺が世界一嫌いな俺を、世界は好みだとかいって愛していく。
世界が愛してやまない俺を嫌う俺のことを、世界は嫌ってしまうだろうか。

本当に、世界はいじわるだ。



「俺は、ね、帝人君」
「……」
「女になりたいだなんて思ってないんだよ、なれないと知っているからね」
「…………」
「それでも街中で可愛くオシャレしている女の子とかみかけると思うんだ。あぁ、いいな、羨ましいって」
「だから、こんな格好してるんですか?」

長髪のヅラをかぶり、紺色のセーラー服に大きめカーディガンで体のラインを隠す。足は黒タイツで隠して、ご丁寧に顔には化粧までほどこされていた。
この格好をセッティングした妹達は「女みたい」「綺麗」「逆に気持ち悪いくらい違和感がない」と喜んでいたが、俺には"女の格好をした自分の姿"が醜くみえて仕方がなかった。女になれなかった自分、気持ち悪い、気持ち悪い……無様な姿。

帝人君、君はこの姿をどう思うだろう。

「見事に似合ってないだろう?笑いたいなら笑えばいい、貶したいのならそうしてくれ」
「え?」
「『ちぐはぐ』って言葉を知っているか?物事がくいちがって調和がとれていないこと、つまり俺が女の格好をしてみたいと思うのは調和がとれていないことなんだ。心底気持ち悪いだろ?」

気持ち悪い、気持ち悪い、吐いてしまいそうなくらい。いっそ体中の全て(内臓やら心やらなんやら)を吐き出して、俺なんか死ねばいい。来世があるというのなら、一度死んで女になりたい。
そうしたら……、

「僕は、今の臨也さんのことを気持ち悪いだなんて思いません。すごく綺麗だと思います、勿論女の人とみて」
「……気持ちと体がちぐはぐなのに?」
「そんなちぐはぐな臨也さんも良いと思いますよ。そもそもちぐはぐじゃない人なんかいるんでしょうか?人はみんな、どこかがズレているでしょう?心だったり体だったり、愛だったり」

僕の場合はなにが歪んでいるんでしょうね、臨也さん分かります?ふふっと笑う彼は俺の平たい胸に擦りつき抱き着く。

「俺が知っている人の中では一番君が、心と体と愛、全部が歪んでいるよ」

いっそ歪みすぎて真っ直ぐにみえるくらい。

「ねえ、帝人君、えっちしよう」
「え!?」







世界はいじわるだ。
体は男でいることを望み、心は女の格好になりたいと願う。
そして愛は、男も女も関係なく"彼"を愛している。
なんて複雑な、なんて面倒な、なんて不条理な形で自分は生まれてきてしまったのだろう。

ただ一つ確かに思ったことは、女の姿をした俺の下でひたすらに喘ぐ帝人君は本当に可愛いなということ。



END
――――――――――――
title by「埋火」

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