2011/01/24 11:54

深夜の小学校に忍びこんで、二人してブランコに乗っている。高校生男子と立派な青年男性がだ。たぶん周りからみたら、普通に怪しい光景なのだろう。少なくとも僕自身はそう思うけど。
僕をここに呼び出した人物、折原臨也さんは頭のいい人だけど少し変わったところがある。不思議な人だ。
今だって無邪気にブランコをこいで楽しんでいるように見えるけど、本当は楽しくないみたい。彼は笑ってはいるけれど、"無理に笑顔を作っている"そんな顔をしていた。
臨也さんが着ているコートのファーが、ブランコが揺れる高さに合わせて大きくなびいている。大人にもなってブランコ立ちこぎってどうなんだろう。ブランコで遊ぶのは小学生だけだと思っていたけど、案外そうでもないんだな。日本は平和だな。
臨也さんはブランコを一通り楽しんだ(?)ようで、次はすべり台で遊びたいといいだした。無邪気にすべり台を滑る臨也さんか……さすがにそんな大人は見たくないなと思ったけど、さすが臨也さん。華麗に階段を登り、華麗にすべっている。その光景はシュール以外のなにものでもないけど、本人がいいなら何でもいいか。
僕も臨也さんに「すべりなよ」と半強制的に先輩命令をされて、階段を登っている。小学生サイズの遊具は本当に小さい。肩や膝や肘が、階段を登るだけでいたるところにガツガツ当たる。地味に痛い、寒いし帰りたい。
とっとと滑って家に帰ろうとすべり台の台の部分に挑む、久しぶりにすべったけど結構早い。そして以外に……楽しい。
すべり台の頭上の方で、臨也さんが大きな声で僕を呼んで笑っている。「ほらね?案外楽しいもんでしょう?」と。不覚にもだが、確かにそうだった。
後ろから臨也さんがすべり台をすべってくる。僕の後ろで彼は止まり、そのままぎゅっと抱きしめられた。





「こうやって遊んだり、一緒に星をながめたり、抱きしめ合ったり、そんな愛もいいもんだよね。そう思わない?帝人君」
「…………臨也さんって以外にも純愛主義者なんですね」
「あは、たまにはねー」





END


title by「埋火」

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