2011/01/27 02:59

来良学園、二年生教室。
そこには授業中ではありえない光景が堂々と繰り広げられていた。
まさに丁度教室の真ん中、当たり前のように置かれた七輪に網。その上で美味しそうに焼かれているホルモン達を囲むように座り、数学の授業などまったく聞かずに和気あいあいと会話する少年達。
いや彼らだけではなく、教室にいる生徒全員が麻雀をしていたり寝ていたり雑誌を読んでいたりと教師の話をまったく聞いていない。
教師も教師で生徒のことなど完全無視で、ただ教科書にかかれている事を機械のように読み上げ、時々黒板に公式を記入する、やる気のない授業をしていた。

それはこの教室に限った話ではなくどの教室、どの学年でもそうで、学級崩壊どころが学校崩壊。来良学園はそういうガラの悪いと有名な、性格の腐った不良が集う学校だった。
その代表例がこの二年A組、得に七輪を囲んでいた少年達「チームホルモン」。

「なぁ、知ってっか?今日くる転校生、喧嘩マジ強ぇらしいぜ。小学生の時に地元のヤンキーしめて、総長をボッコボコにしたってよ」
「そんなのただの都市伝説だろ?」
「でもうちの兄貴が現役の頃、喧嘩人形ってかなり噂になってたクソガキだってビビってぜ」
「そんなのオメーんとこの兄貴がビビりなだけだろ」
「でも噂は本当なんだって」
「ふーん。まあ、それが都市伝説なのかそうじゃないのか、とりあえず確かめなきゃなんねーよな」
「力試しか……」

少年達の目が怪しく光る。まるで次の獲物を見つけたいじめっ子のように。
七輪のホルモンが激しく燃える、パチパチという弾ける音がさらに不穏な雰囲気を引き立たせる。

「んで、」
「……」
「その肝心の転校生はいつ来んだよ」
「もうすぐ昼なんだけどな」





そして、ガラッと乱暴に開けられた教室の扉。そこから現れたのは金色に染められた頭をした男子生徒。そして両耳に無数に開けられたピアスが、この男子生徒が優等生系統ではないと語っていた。
突然現れたこの彼に、教師も生徒も驚いた顔をしている。
チームホルモンメンバーはそれぞれ、その手に持っていた箸を投げ捨て金髪生徒を睨みつける。
教室中の視線を受け止めているその金髪生徒は「いやいやー、遅刻遅刻」とニッコリ笑い、大きな声でこういった。

「おっはよー!皆のアイドル紀田正臣、遅れて登場だぜ!!」








「誰だ、この馬鹿」
「おい那須島!」
「先生を付けなさい、先生を」
「んなことより、コイツ誰だよ」
「嫌だなー、クラスメイトの顔を忘れるだなんて寂しいジャナイカ」
「クラスメイト?」
「いっとくが紀田は一学期からこのクラスの一員だぞ。まあ、一学期初日から今日まで登校してなかったから、実質今日が初顔合わせだがな」
「転校生じゃないのか?」
「何言ってるんだ、転校生なら朝からいるぞ」
「はぁ!?どこに!?」
「あそこの席に座っている、竜ヶ峰君」
「……」
「…………」
「な?」




(転校生、どんだけ存在感ねーんだよ)
(……気付かなかった)




「ねぇねぇ、何の話ー?」
「紀田、うるさい」
「先生ひどい!!!!」


(続く)


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