この微かな恋心に |
朝、田中が向こうのWSにケンカふっかけて、お互い止めに入ったとき。背は大きくなく、俺より10センチくらい低い?のかな。それでもやはり存在感は大きくて。うちのリベロもそうだけど、やはりみんな信頼してるんだなってのがプレーで一目見てわかった。
「なんかスミマセン恥ずかしい奴居て・・・」
そう、眉を下げて笑った表情とか。その明るい声とか。
「うちもスミマセンお恥ずかしい」
なんとなく、部内でのポジションは俺と同じようなかんじなのかな、って。最初はその程度だった。良い友達になれるかもな〜なんて。その程度の認識だった。・・・いや、そんなことないかもしれない。
多分、一目惚れだったんだ。
あの大きくて吸い込まれそうな猫目も。ハキハキとした態度も。やわらかそうな茶髪も。全部ぜんぶ、目に焼き付いて離れない。向こうのリベロが気になる。
試合が終わって、音駒が帰るぞ、ってなったとき。今、いかないと。多分、インハイまで何も聞けなくてもやもやするだろう。
「あの、良かったらアドレス、とか交換しませんか、」
彼の目が、見開かれる。名前も知らない。何年だかも知らない。けど、なんか、心に引っかかる。
「こちらこそ!あ、ちょっと待ってください・・携帯・・・・」
意外にもOKされて。いそいそと携帯をバックから取り出す。赤外線でお互いの携帯に送りあって、彼のアドレスが届いた。
「あ、俺、夜久、三年っす。よろしく!」
夜久、と名乗った彼は同じく三年。ハキハキと話すその笑顔がまた印象に残った。
「よろしく。三年、菅原です。また、インハイで、!」
「お互いがんばろうな!」
そう握手を交わした彼の笑顔はさらに俺の心を引き寄せた。
この微かな恋心に
(まだ俺は気づいてない)
菅夜久もっと増えてください・・・