吐かれた吐息は誰のですか |
すみません!思いつきネタなのでかなり雑です、文って名乗っちゃだめやろー!!フェスありがとうございました!明日からがんばれます;;;
「なぁ、黒尾」
春眠暁を覚えず。
春の心地良い陽気に誘われてうとうとしていたら授業に乗り遅れた、そんな黒尾の嘘を受け取って部活後に勉強することになった。
「あー?」
「俺が好きって言ったら、どうする?」
勉強会と称して立ち寄った黒尾の家で。ベッドに寝転がっていた黒尾に向かって夜久が器用にペンを回しながら視線を合わせずに言った。
「は?」
「ごめん、」
そう静かに言うと夜久は、立ち上がりベッドに手をかける。ギシリ、と男子高校生2人分の体重が乗っかった。そのまま寝転がっていた黒尾の上に、跨がる。
「夜久、」
驚いて、黒尾が夜久を見上げた。視線がいつもより、逆転する。
「俺なんかさ、お前と居ると、なんかくるしいんだよ、」
ぽろり、と水滴が、黒尾の頬に落ちた。伏せていた目線を上げると、夜久の猫目からぽろりぽろりと涙が。頬に、首筋に。冷たい涙が落ちてきた。
「・・・」
無言で見つめ合う。灯りもない、この暗い部屋で星だけが2人を見ていた。静かに柔らかに、見ていた。
「すき、なんかも、」
曖昧な愛の言葉を、夜久がゆっくりと落とした。小さくて弱々しくて。まるでこの世の中、黒尾にしか届いていないようなか細い声で。
「や」
「ごめん、すき、」
夜久、夜久。世界にたった一人、愛おしい彼の名を呼ぼうとしても、遮られる。好きな大好きな彼の謝罪の言葉で書き消される。
手を伸ばしたら、すぐそこに。溶けてしまいそうな綿菓子のように。満天の星が掴める、なんて迷信したあの子供の時の感覚に似た何かがそこには確かにしかあった。届きそうで、とどかない。伝わってそうで、つたわってない。こんなにも、毎日伝えてるつもりだったのに、言わなくてもなんとなく感づいているだろうと思ってたのに。彼は一体何をそんなに臆しているのだろう。
「泣くなよ、」
だから、手を伸ばした。彼は星ではない。掴めないような何億光年も離れた所にいるわけではないのだ。
「ぅあ、だ、って、ご、め、」
手をあげて、夜久の目元に手を伸ばす。涙を指で拭き取ると小さく吐息を漏らして、震えた。
「俺も、」
「っ、え?」
押し倒された体制からからゆっくりと体を起こして、自分より一回り小さな体をぎゅっと抱きしめた。
「俺も、すきなんだけど、」
ずっと言いたかった、言えなかった言葉を告げる。しずかに確実に。
抱きしめた手を一度離して、そのまま夜久の肩を押した。
ふわり、と布団に夜久が倒れる音がして。片手で自分の体を支えて。じっ、と目を見つめる。
「くろ、お、」
ほら、その。期待みたいな、不安みたいな。その優しい目が。好きだ。
「こーゆーこと、したい、んだけど、」
鼻先がつく距離まで身体を近づけると耳まで赤く染めて、こっちを軽く睨んだ。嬉しさと気恥ずかしさを隠したような、練習中にリベロナイス、と褒められたらときのような笑顔で俺を見てきたから。
その挑発的な目線が堪らなくて、唇に舌を割って入れる。
「んぅ、っあ、いーよ、」
途端、背筋がぶるりと震えたのがわかった。本能が呼んでいる。
黒尾、?なんて潤んだ、泣きはらした上目遣いで言われたら。
「ほんとに、いいのか?」
少しだけ緊張してそう問うと、夜久はにやりとわらった。ゆっくり吐息を吐いて呼吸を落ち着かせると、黒尾の首に手を伸ばして甘い言葉を吐く。
「はや、っく、」
夜はまだ、これから。
月が静かに呟いた。
吐かれた吐息は誰のですか
(わからなくなるくらい、重なりませんか?)
黒夜久フェスお世話になりました!
みなさまの絵、文、語りなど素晴らしすぎて場違いですが愛は込めたので・・