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プロローグ・エピソード



「まじかよ・・・」

春。まだ少しだけ寒さが残る音駒高校のグラウンドの桜は5分咲きといったところだろう。無事に2年に進級した俺たちはクラス替えの張り紙がされてある昇降口へと向かい自分の名前を探していた。
5組の場所に自分の名前を見つけた俺は夜久の名前を探す。夜久の名前を探してた自分に対して苦笑する。ベタ惚れではないか。海は4組にあったし、隣なら部活の連絡も楽だろう。5組より前には多分なかったからきっと7組とかそのへんだろう。そう思って後ろを見ていくとすぐ近くに夜久の名前。は?と思ってクラスをみる。5組。同じクラス・・?

「おー黒尾!やったな同じクラス!」

いつの間にか隣にいた夜久が声を出す。20センチ下から聞こえたその声は心なしか嬉しそう。

「ほんとだ、よろしく・・・」

いや、嬉しいよこれは。めちゃくちゃ嬉しい。けど、ヤバいだろ。どうしよう。・・・1年のときにこれに気がついてから結構我慢して意識してきたんだけど。これからクラスも部活も全部一緒、とか。

「教室どこになるんだろー、なぁ?」

そんな俺のことなんかきっと気がつかずに「友人」として話しかける夜久。罪悪感、とか不安、とかいろんな感情が混ざり合って、もう、本当心臓が痛い。

「北棟が良いよな、体育館近いし」

「たしかに!」

まぁ。今はまだ。この距離でさえ楽しい。壊れるくらいなら望まない。それでも良い。いつか、いつかきっと伝えてやろうじゃないか。それまではまだこの心地よい距離を壊さないように。

(ちくしょう、・・・)

それでも好きだな。なんて。そんな湧きあがる感情をしまって教室へと向かう。隣にいる大切な友人、大切な部活仲間、大切なクラスメート、そして大切な大切な初恋のヤツと歩幅を合わせて。不意打ちでやられるスキンシップに不覚にも緊張して。一歩。今、歩み出す。
春風が少し、背中を押してくれたような気がした。


プロローグ・エピソード
(初めての恋が動き出す)



私の黒夜久イメージとしてはクロさんは恋人になってもっとあんなことしたい!とか思ってて夜久さんは一緒にいるだけでいい!って思ってそうなイメージ。でもどっちもがっついてお互い大好きすぎる黒夜久もいい。黒夜久ならなんでもいい。



第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
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