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カミサマ、この恋を




同じ戦闘民族。
同じ黒い目の淵に
同じ赤い髪。

ほぼ同じなのに何故だろう。自分を鏡でみているときとは違う。血が、私の戦闘民族の血が早く流れるみたいなどくっ、どくっ、っていいながら頬を赤く染めたがる。

「恋、ってなんでしょう。」

夕食中にアリババさんに聞いてみる。アリババさんは飲んでいた紅茶を盛大に吹き出して咳込んだ。

「ごほ、っな、なんだよモルジアナ急に・・・・」

「モルさんは恋、してるのかい?」

アラジンがにこにことした笑顔で聞く。シンドバットさんやジャーファルさんも興味深いとでも言うようにこちらを向いた。

「いえ、・・・・・わからないんです、」

幼いときの記憶など少ししかなくて、あとはジャミル様の奴隷として使えてきた自分。「恋」だの「愛」だのという難しいことは一切わからない。だから、私のこの異常に働きたがる心臓の動きの意味がわからなかった。
昔読んだ本に書いてあった「普通の女の子の恋愛」。物語の中の女の子は男の子を見るたびにドキドキと胸を踊らせていたのを覚えている。

「でも、」

「貴方が相手をみて、優しい気持ちになるのならば、それは恋、なのではないでしょうか?」

ジャーファルさんが言う。
優しい、気持ち?

「モルジアナは相手といて楽しい!って思うか?」

シンドバットさんが私に問うた。稽古のとき、私は楽しい。
お昼のとき、私は楽しい。
あの人と、マスルールさんと居ると楽しい、楽しい楽しい!
あぁ、考えただけで楽しくなってきた。笑顔になってきた。

「楽しい、で、す。」

「ならば、もう恋、だぜ?」

金髪をシンドリアの南風に揺らしながらアリババさんが言う。

「恋、ですか・・・・」

「なんだか、今のモルさん、楽しそうだね!」

楽しそう?
もちろん、楽しいですよ。

「・・・・はいっ!」


ああ。私は貴方に恋をしてしまったみたいです。
どうすれば良いでしょう?


カミサマ、この恋を
(世界の色が変わった日)



タイトルは確かに恋だったさまより。マスモル可愛いです。
20130301 加筆






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