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伝えたかった二文字




「今までありがとう、」

笑顔を精一杯作った。涙をこらえて。辛いのは俺だけじゃない。アラジンも辛い・・・と思う。
出発するまであと4分弱。本当はまたまだ一緒に旅したかったけど。

「ううん、僕のほうこそ。今まで凄く楽しかったよ」

「おーい、そろそろ出発するぞ!」

おじさんたちの声が聞こえて。

「元気で・・・な、」

「アリババくんのほうこそ!」

無理矢理笑顔をつくる。だって今まで、ちょっとだったけれどアラジンのこと見てきたから、笑い顔だって泣き顔だって。明日から、そんな大切なことがなくなってしまう、だなんて。
ああ、あと少し経ったらアラジンは隣に居ないのか。そう思うと涙が出てきた。

「なっ、そんな悲しい顔すんなよ!?お別れなんだぞ!」

「わかってるよ、でも・・・」


アラジンがちょっとだけ泣きそうな顔をしていて。だって俺だって泣きそうなのに。

「笑ってお別れしよう、な?それでまた会ったら笑って会おうぜ!」

アリババくんも笑えてないよ
そう言われそうな、言いたそうな顔をしていた。


「おーい少年!行くぞー」

「アラジン、」

「なあに?」

アラジンがおじさんたちのところへ向かいながら受け答えをする。
アラジンと別れるまであと30秒。

「俺さ、ずっとずっとアラジンのこと、」

後ろに大きな荷物を巻かれた、馬の大きな鳴き声に掻き消される。俺が伝えたかった2文字の言葉。

「アリババくん!!」

遠くに行ったアラジンに「好き」。そう言う。アラジンには聞こえてない、見えてない、伝わってない。でもいいんだ。だって伝えたらもっとアラジンが欲しくなる。もう居ないのに求めたくなる。

あいつと別れて1秒。
あいつと会えるまであとどれくらいなのだろう・・・・・


伝えたかった二文字
(また会えたらきっと、)




久々に読み返したら現パロで電車の別れ際で書いた時のままになっていたので・・ひい恥ずかしい・・
20130301 加筆



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