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藪蘭は隠れ咲く





「助けてください!」

道端を歩いていたら下から聞こえた声。どこかで聞いたことのある声に耳を傾けると青い紙を三つ編みに結った少年が1人。それは、昨日俺がオッサンに連れていかれた金持ちの舞踏会で出会った少年だった。

「・・・・えーっと、君は・・・?」

「わからない」

「え」

少年は俺が予想もしてなかった言葉を口にする。

「自分がなんなのかわからない。」

「ちょ、まっ」

「だからいろんな人に話し掛けた。でも全部無視」

「え、っとあの、」

「だから助けてください。」

こんな道端で話しをするのもなんだから、と言って俺のアパートへ上げた。一体この一夜の間に何があったのだろうか。彼は、一体何者なのか。


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黄色の髪をした青年。
昨日の舞踏会に来ていた人だと思う。王子にしては優しげでどこかふわふわした人だなぁと思ってた。
この人なら。この人ならば僕の王様になってくれるだろうか。


「わからないんです、」

だなんてとぼける。彼を誘うために記憶喪失を装って。

「だから、たすけてください」


優しげな彼は僕をアパートへとあげてくれたね。
さて、ここからどう王様になってもらおうか。
ちょっとずるい作戦だったけれど、ごめんね?



藪蘭は隠れ咲く
(見つけられるかな、)



藪蘭の花言葉は隠された心情とか裏とか。
20130301 加筆




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