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アレグレットで伝わる心拍数




月明かりに照らされた夜のこの国はいつも見ている市場や広場とは少し違って見えた。
星が出てなければ、月が出てなければ君の顔すら、ほら、こんな鼻が触れ合いそうなくらい近くにいる君さえも見えなかっただろう。優しい優しい月明かりに照らされた僕たちはいつもと違うこの国の中央にあるお城のベランダでお互いを見つめあっていた。

「今月は晴れて良かったな。」

「うん、ほんとに 」


1ヶ月に一回。
毎月7日。

その日だけは何があっても、どこにいても必ずこの国のこの場所でこの時間に会おう。どちらから言ったわけでもないそんな約束をもう何回守ってきただろう。
この前もその前もそのその前も生憎の雨だったから3ヶ月ぶりに二人で、二人きりで星が月が空がみえた。

「ねぇジュダルくん、」

「ん・・」

「星って、掴めるのかな」

「え・・・・」

おまえ何言ってんだ、みたいな顔で僕を見つめる彼。あぁ、もちろんわかりきってるよ、そこまで馬鹿じゃないよ。

「本気で言ってるわけじゃないよ」

「あぁ、・・・・」

ただ掴んでみたいなって思って。

「なんで掴みたいんだよ、」

「んー、それはね、」

見つけて欲しいんだよ。
君に。
もし、この先僕がどこに行ったとしてもあんだけ明るい輝きを持ってれば君はすぐに見つけてくれるでしょう?

「・・・・」

こんな馬鹿みたいな僕のおもいを何も言わずに聞いていた君は何を思ったのだろう。そんなことばかり気になってしまう。

「ごめん」

「おまえさ、」

さっきまで近かった顔が余計に近くなる。自分の鼻先には君の、大好きな君の鼻先が触れていて、すごく熱い。

「俺がお前に何か目印がないと見つけられないようなやつだと思うのかよ」
近い、近いんだよ。
風が通る度に彼の匂いがして、そのたびにどきっとして。

「そ、そうゆうわけじゃないけど・・・」

「それならさ、星なんかいんないだろ?」

そう言って肩を引き寄せられる。
自分の尋常じゃなく働く心臓の音が、心拍数が君にもわかっちゃう。あぁ、もう!

「うん、ありがと」

普段は意地悪でわがままでよくわかんないのに。こういう時だけかっこよくて。
僕は結局君にベタぼれのようです。


アレグレットで伝わる心拍数
(全ては君のせいだから)




七夕から何週間過ぎたことか。
いつもなんかジュダルさんが一方的に好き好きな感じだったのでアラジンさんをベタぼれにさせてみた。
七夕なんも関係ないけど・・・・





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