息嘘 |
ため息をつくと幸せが逃げていくと聞く。
私は知らないうちに息をたくさん吸い込んで、無意識に吐き出していた。らしい。
「どうかされたんですか?ため息なんかついて。」
くらり。
視界が一瞬真っ暗になった。
「いや、・・・なんでもない」
そうですか。
そう言って風に揺れた銀髪。
ーーー
殺してやる
殺してやる
殺してやる
どこからか小さな妬む声が聞こえた。
バッ
振り向くのが遅かった。
銀髪は私の首を強く締めた。
「あっ・・・ガッ・・」
苦しい。息が吸えない。頭に酸素が回らない。
「何故だ?!何故だため息を漏らす?!お前は幸せだろう?!私と違い三食とり温かな寝床で寝ているんだろう?!それなのに!!それなのに!!何故だ?!これ以上何を望むというのだ?!」
はっ
はっとなって目が覚めたのはいつもの白い布団だった。
「いやな夢をみた・・・・」
「どうかされたんですか?ため息なんかついて。」
そう言った銀髪は心なしか笑ってるような気がした。
息嘘
(幸せが逃げて行ってしまいますよ)
ちょっと黒いジャーファルさんとジャーファルさんに殺される夢をみるシンドバッド。
息嘘(おきそ)とはため息のことらしいです。嘘(そ)って漢字は違う字なんですが、変換では出てこないので意味は同じ嘘にしてみました。