小説 | ナノ

「おぬし…例の問題児の面倒を見ているというのは本当か?」

どっから嗅ぎつけて来るんだか…
じーさんはちゃっかり俺の隣りに腰掛けてきて、浮遊する魂を掌に集めながら、今一番聞かれたくない質問をしてきた。

「…あぁ。そういう訳だからもう行くよ」

これ以上一緒に居たら何を詮索されるか解らない。
俺が立ち上がろうとすると、じーさんは盛大な溜息をついた。

「まったく…気紛れで封印なんぞ解いたりするから、変な情が移ったりするんじゃ。馬鹿者めが」
「…そんなんじゃねぇよ。責任、だよ」

俺は帽子を被り直し、ゆっくり腰を持ち上げた。

「気を付けよ…あの者はわしが今まで見てきた霊とは桁外れに力量が違う。禁術を心得ておるおぬしとて、いつその魂吸い尽くされるか解ったものではないぞ」


…言われなくたって、


「…じゃあなじーさん。身体には気を付けてな」




解ってんだよ、んなことは。