小説 | ナノ

〜第二章〜


「やべっ、もうこんな時間かよ」

次の日。じーさんに頼まれていた薬草がなかなか見つからなくて、あっという間に日が暮れてしまった。そろそろ家を出ないと、じーさんがうるさい。

「レムー、行く…」

出かける支度を整えて、奥の部屋の襖を開け、妹を呼ぶ。
花札やおはじきの散らばった部屋の真ん中で、人形を抱き締めたまま、妹はぐっすり眠り込んでいた。

「…。ま、いっか」

起こすのが可哀想なくらい熟睡している。毛布をそっとかけて、今晩はレムを置いて出かけることにした。



「なんじゃ、今日は連れて来なかったのか?」
「うん。眠っちゃってたからさ。置いて来た。今日はこの呪文を解読するだけだから早く終わるんだろ?」

昨日の残りの課題で、易しい内容だったからすぐ帰れると思ったんだ。
頼まれていた薬草を手渡し机につくと、巻物を解いて、昨日の頁を探す。

「追加の課題はいくらでもあるんじゃがのう」
「はぁぁぁぁ!?聞いてねぇよ」

すぐさま飛んできたデコピンに悶絶する俺を尻目に、じーさんは盛大な溜息をついた。

「まったく、おぬしという弟子は…。まぁ、妹を置いて来てしまったのなら仕方ないの。とっとと終わらせてしまえ」

俺は涙目で作業に取り掛かった。