小説 | ナノ

「…あーちゃん、やっと渡すみたいだよ」
「マジで?ようやくかよ…あいつも変なとこ慎重だかんな」

毛布に包まりながら、煌伯が風渦を後ろから抱え込むような形で、二人は窓の外を眺めていた。

「ふふ、炸羅の反応すごく見たいな」

曇る窓ガラスを指でなぞりながら、風渦は笑った。

「暴れ出すか、泣きじゃくるか、どっちかだな」
「俺後者だと思う」
「オレも」

風渦のなぞったガラスの跡を、さらに煌伯の指が辿る。
水滴がゆっくり窓ガラスを伝った。

「…来年も、4人一緒にいたいな」
「そうだな。まぁオレはお前がいれば他に何もいらねぇけど」
「意味わかんない」
「そのままの意味だろ」

煌伯は風渦の頭を引き寄せ、優しく口付けた。
真っ白な空を見上げ、風渦は煌伯に寄り添う。

「来年もよろしくね」
「こちらこそ」


それぞれのクリスマス。
聖なる夜の、一時の夢。



end.