「いくらなんでもこれは…」

「しーっ、喋っちゃダメ!ほら、ちゃんとフード被って!」





今年のクリスマスのイベントは"各寮でパーティー"。各々の寮を好きなように飾り付け、朝までわいわい騒いでも怒られない最高の夜!

しかし、それは裏を返せば他寮の生徒とは一緒に居れないと言うこと。でも私が今日一番一緒に居たいのは何を隠そうスリザリンのセブルス・スネイプ。セブルスが居ないクリスマスなんて楽しくない!っと言うわけで。





「いい?私の部屋に着くまでは絶っっ対にフード取っちゃダメだからね!」

「…あぁ、わかっている」





思い切って連れ込んじゃうことにしました(ようこそグリフィンドールへ)!

そっとセブルスの袖を掴んで、障害物に気をつけながら誘導して行く。順調に談話室の中程まで進んだところで、とうとうこのミッション最大の難関に差し掛かった。





「「メリークリスマス!」」





リリーと意地悪仕掛け人達だ。

特に、仕掛け人達には要注意。ジェームズに至っては、既に私の後ろに居るセブルスに興味津々だ。ん?でも、二人、足りないような…。





「あれ、シリウスとリーマスは?」

「あぁ、シリウスならあそこだよ」





ジェームズが指をさした先には、女の子の山。甲高い声の中で時おり聞こえる苦し気な低い声は、たしかにシリウスだった。よしよし、これならシリウスは心配ない。女子たちナイス!





「リーマスは?」

「リーマスはあそこよ」





シリウスの直ぐ隣。ケーキが沢山積まれたワゴンを物色していた。うんうん、こっちも心配無用!

さて、問題は目の前の二人。相変わらずジェームズは私の後ろをジロジロと見回しているし、リリーもちらちらと様子を伺っている。





「あのさ、さっきから気になってたんだけど、後ろに居るのは誰だい?」





ほら来た。無意識に袖を掴む手に力が入る。





「あー、先輩よ。もちろんグリフィンドールの」

「そうなんだ!でも見掛けない感じだね…、良かったら紹介してくれないか?」





むむむ、そう来るか。
"はやくはやく"と目で催促するジェームズ。何だかすこし笑みが黒く見えるのは気のせい…?





「ごめんね、先輩気分悪いみたいだから後で紹介するよ」





これなら不自然じゃないだろう。
そう思ってチョイっとセブルスを引っ張って前進しようとした瞬間、ジェームズが大きく腕を広げて通せんぼをされた。も、もしかしてバレた…?





「おっと、この先は女子部屋だ。気分が悪いなら医務室に行った方がいいんじゃないかい?」

「いや、あの…。私の部屋に薬があるの!そう、だから部屋に行かなくちゃ」

「だったら君がが取ってきなよ。その間僕とリリーが先輩を診ててあげるからさ」





にやりと笑うジェームズ。ちらりとリリーを見ると、同意するようにニコニコと微笑んでいた。どうしよう、どうしよう!

ぐるぐぐると混乱する頭で必死に考えていると、不意に冷たい手が私の手首を掴み、ジェームズを押し退けて物凄いスピードで私を引っ張っる。背後からはジェームズの怒鳴り声。前方では、しっとりした髪が風に靡いていた。





ばたんっ!
部屋に飛び込んで鍵を閉めると、二人ともそのままヘナヘナと崩れ落ちるように座る。





「っはぁ、急、に走らないで…っよ!」

「し、かたないだろ、はぁ、…流石に部屋までは、来ない」





座り込んだ床下からは、ジェームズと騒ぎを聞き付けたのか、シリウスの叫び声、それをなだめるリリーとリーマスの笑い声が聞こえてきた。

それが異様に可笑しくて、思わず二人で顔を見合わせて笑った。





しあわせ、だなぁ。





「今度は私がスリザリンのパーティーにお邪魔しちゃおうかなー」

「いや、もうこう言うのは勘弁してくれ…、僕の身が持たない」






ハッピー・ハッピー・クリスマス

(っくそぉ!負けた!)
(いやぁ、絶対防げると思ったんだけどなぁ)
(だから言ったじゃない、"セブルスはやるときはやる"って)
(じゃ、約束通りパーティーの後片付けは頼んだよ)
((うげぇー…))

バレバレな上に賭けられているとは露知らず!










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