「こんばんは、スネイプ」

「…あぁ、先輩」





ナマエ・ミョウジ。同じ寮の先輩。にこりと柔らかい笑顔が特徴的。今日は深夜なのも伴ってか、いつもより幾分目尻の下がった笑顔だった。トサリ、隣に座った先輩から薫るのは甘いけれど爽やかな、シャンプーの、匂い。





「寝ないんですか」

「寝ようと思ったんだけど、君が居るのが見えたから」





"お得意の教科でも教わろうと思って"そう言って、先輩がアクシオで呼び寄せたのは様々な教科書と、羊皮紙。





「さて、まずはマグル学からお願いね」





明らかに眠そうな目で、意地悪く笑う先輩。本当は、僕に教わることなんて何一つ無いくらいに優秀だというのに。

しかしこれが、浮いてしまっている後輩を心配するミョウジ先輩なりの優しさなのだと思うと、ぎゅうっと胸が押し潰された。ああ、僕は、烏滸がましいことにミョウジ先輩のその暖かさに、惹かれてしまっている。


さらり流れる髪。睫毛が影を落とす横顔。すらすらと羊皮紙を滑る指先、その全てが愛しくて、全てが大人びてみえた。歳の差というのは、こんなにも分厚いものだっただろうか。触れようと思えば触れられる。愛を伝えることも、可能だ。だけど、だけどきっと、





愛し合うには近すぎて、罵り合うには遠すぎた
(僕たちは、この先も)
(友達でも恋人でもなく)
(只の"先輩と後輩")





0917>>>title:joy